10章〜遠い炎群 〜 第102話
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い階段を降りきって、行き止まりに到着した。
「なあ、リース。初めて合った時………オレがどんなだったか覚えてるか?」
行き止まりに到着し、立ち止まったケビンは振り向いてリースを見つめて尋ねた。
「………うん。私はまだ小さかったけど………不思議とあの時のことは覚えてる。あの時のケビンは………全てに絶望した目をしてて………正直……ちょっとだけ怖かった。この子はいったい何を見てきたんだろうって………」
「はは………何を見てきたか。」
リースの言葉を聞いたケビンは寂しげな笑みを浮かべた後、少しの間黙り、そして話し始めた。
「どうやら姉さんは知っとったみたいやけど………あの時な、オレ、自分の母親を殺してるねん。」
「……………っ………!?」
「!?」
「………な……………!?」
ケビンの話を聞いたリース達は信じられない表情をしてケビンを見つめた。
「ああ、殺したってのはちょいと大げさすぎたかもな。見殺しにした………ってのが正確かもしれへん。」
リース達の様子を見たケビンは苦笑した後、かつての自分―――アルジェント姉妹と出会う前の自分の姿を思い出して話し始めた。
「元々ウチは、母一人、子一人の家族やった。親父もたまに顔を見せたけどどうやら他にちゃんと家族のいるどこぞの金持ちだったみたいでな。でも、そんなんは関係なしにオレは母ちゃんの事が好きやった。この言葉遣いを近所のガキどもにからかわれたこともあったけど、大抵ボコボコにしてやったしな。料理好きで暖かくて………自慢の母親だったんや。でも7歳の頃………母ちゃんは親父から捨てられた。元々心の弱い人でな………みるみる元気がなくなって身体の調子も悪くして………オレ、色々頑張ったやけど全然元気付けられへんかったわ。そして………ある冬の日やった。母ちゃんが………寝てるオレの首を締めてきたんは。」
「!!!」
………ごめんな…………ごめんな………ケビン………でもお母さん………もう………疲れてしもうたんや………だから………だからな……ケビン………このまま………お母さんといっしょに………
「ま、苦労させるくらいなら一緒にラクになろうって話やろ。でもオレは………それには付き合えへんかった。夢中で母ちゃんを突き飛ばして………雪降る街に裸足で飛び出していった。母ちゃんのした事の意味もわからずにただただ混乱して、小一時間さ迷った。そうして腹も減って………母ちゃんのことが気になって……恐る恐る家に戻ってきたら………自分の腹に包丁を刺して、大量の血を流して倒れている母ちゃんがいた………」
「………ケ……ビン………」
ケビンの壮絶な過去を知ったリースは悲痛そうな表情でケビンを見つめた。
「はは、すまんな。しょうもない話を聞
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