第178話 徐元直 前編
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いう人物を知っているか? その者の門下だ」
美羽は「水鏡」という単語に反応した。鏡翠こと司馬徽の通称を知らない荊州人士はいない。もし知らなければモグリだろう。
「単福なる者は水鏡殿の門下ですか!? ということは水鏡学院の出身ということですか?」
美羽は驚いた顔を浮かべ正宗に言った。
「単福は水鏡学院の出身で。水鏡学院の次期責任者になる予定だ」
「それは。それは。水鏡殿に指名されて責任者になる人物であれば余程の人物でしょう。水鏡殿は気難しい人物で私も会おうと色々と伝手を使ったのですが上手くいかなくて困っていましたのじゃ」
美羽は本当に困った表情で当時のことを語った。
「ただ、伝聞で耳にする水鏡殿の発言は理想主義というか現実を知らない書生ようで、声望との擦れに困惑することもありましたですじゃ」
鏡翠が美羽を避けた理由は劉表が荊州牧だったからだろう。劉表に仕官の話を持って来て欲しくなくて、劉表に自分が役に立たない人間と思わせたかったのかもしれない。
「美羽は水鏡を暗愚と思っているのか?」
「いいえ。劉景升殿は『所詮、学問しか能がないただの書生』と称していましたが、妾はそうは思いませんでした。水鏡学院の生徒は優秀な人物が多い。そこで教鞭を振るう水鏡殿が暗愚な訳があろうはずがありません。妾には水鏡殿がわざとそう振る舞う必要があったのではないかと思っていますのじゃ」
「その理由に心辺りはあるか?」
「多分ですが。劉景升殿なのかなと。慈黄(鳳徳公)は劉景升殿のことを見下していました。それ以前に関わり合いたくない様子でした。慈黄と義兄妹である水鏡殿も同じ感情を抱いていてもおかしくないですじゃ」
美羽は正宗に自分の考えを伝えた。
「水鏡殿は兄様に仕官したと聞きました。直接聞いてみればよろしいのではないでしょうか?」
「聞かずとも私と面会した時の雰囲気で何となく察することはできた」
正宗は当時のことを思い出すように喋った。鏡翠に面会した時、彼女は劉表の影響を早く排除したいように見えた。
「と言われると?」
「美羽の見立てと遠からずということだろう。機会があれば聞いてみるとしよう」
「その時は妾にも教えてくださいなのですじゃ」
正宗は美羽に頷いて返事をした。
「美羽、ここからが本題だ。今日、会わせる単福だが故あって偽名を使っている」
美羽は訝しんだ。「偽名を名乗るような人物を私に紹介するのですか?」と彼女の顔に書いていた。
「偽名を名乗っているのですか? 何故ですか?」
正宗は美羽に聞かれ、徐庶が偽名を使う経緯を全て説明した。彼も美羽に全てを知らせておく必要があると思っているだろう。正宗は自分が知る限りのことを美羽に話した。美羽は彼の話を聞く間、黙
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