10部分:第十章
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第十章
28.冬桜
冬には何もないと思っていたのに
貴方が来てくれるなんて思いもしなかったのに
この海一人で渡ると思っていたら側にいてくれた
冬の海は何処までも寒くて 女の身にはこたえるけれど
二人ならきっと 辛くはないわね
雪が白く舞って それが花びらに見える
冬景色が漂うわ けれどそれが冬には見えない
春の景色のように 桜が舞うように
そう見える海を二人で渡る
冬桜 私達を包んでくれる冬桜
二人きりの旅立ちを覆ってくれる花
一人寂しく故郷を出ようと思っていたら
貴方が追いかけてくれてそれで二人になったわね
女一人の寒い旅が暖かい旅になってくれた
冬の海は冷たいけれど 一人じゃとても渡れなかったけれど
今は二人で 渡っていけるから
冬桜が今 私達の道を飾ってくれて
それが春のように 暖かい景色に見えるの
桜はまだ咲かないけれど それが舞っている
二人で旅立つ異郷への路を
冬桜 私達の為にある花
私と貴方を祝ってくれる花
冬桜 私達を包んでくれる冬桜
二人きりの旅立ちを覆ってくれる花
29.SMOLL STONE
転がっている小石が 何でもない小石が
今の荒んだ俺の心そのものだった
砂漠みたいなこの街で疲れ果ててボロボロになった俺が
やっと見つけたのがこの小石だった
何の変哲もないただの小さな石が
愛想もなく転がっているだけだった
そんな石を蹴飛ばしてみても何も起こらない
たったそれだけの石を見ているだけさ
SMOLL STONE この街で見つけたたった一つのもの
何もないこの街で俺が手に入れたものは
この石だけだったのさ
小さなちっぽけな石が 何処にでもある石が
今のどうしようもない俺の心だった
華やかそうでいて実は何もありゃしないこの街で俺が
ようやく見つけたのが小石一つ
それ以外には何もなかったのさ
愛想もなくそこにある石だけだったよ
そんな石を手に取って懐に入れてみる
それだけでも何か嬉しいのかな
SMOLL STONE 俺が手に入れたたった一つのもの
あてもなく彷徨い続けたこの俺が手に入れた
たった一つだけのものさ
SMOLL STONE この街で見つけたたった一つのもの
何もないこの街で俺が手に入れたものは
この石だけだったのさ
30.輝き
輝いている時がある 誰にだって
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