Vivid編
第九話〜素直な気持ち〜
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いたMVS形態の蒼月の切っ先をライは少年――――ジョシュア・ラドクリフから離していく。そして、それに合わせるように馬乗りの体勢を解くと、特に警戒も見せずにライは彼から離れたのだ。
それを侮られたと受け取ったジョシュアはライに感情のままに噛み付いた。
「君が僕を狙う理由は幾つか予測できる。だが、君がそれを行動に起こすキッカケが分からない」
「はぁ?」
ライの遠まわしの言い方に理解が追いつかないのか、ジョシュアは間抜けな声を漏らす。だが、そんな彼にお構いなしにライはビルの屋上の淵に腰掛けながら話を続ける。
「君には僕を狙う正当な理由があるのだろう。だけど、その理由ができる切っ掛け。要するに僕の事をどこで知った?」
「…………」
そこまで言われ、理解が追いついた彼は無言で視線を逸した。
(言いたくない、言えない?どちらにしても今ので彼に情報提供者がいるのは確定か。問題はこの襲撃のタイミングが故意なのか、それとも偶然なのか。それとそいつの目的が何なのか、か)
彼の反応を窺いながら、思考を回転させていく。
そして同時に、恐らく自分の――――『ライ・ランペルージ』のことしか把握していない目の前の男の子をどうするかを考え始める。
「「!」」
だが、その思考は唐突に中断することになる。何故なら、二人のいるビルの屋上と屋内を繋ぐ扉が大きな開閉の音を響かせたのだから。
「っ…………くそ!」
咄嗟に地面に放置されているライフル型のデバイスを回収しようと動こうとするジョシュアであったが、それを塞ぐようにデバイスと彼の間にライが滑り込むようにしてそれを防ぐ。
即座に回収が無理と判断すると、ジョシュアは服のポケットから小型のストレージデバイスと思われるデバイスを取り出すと、オプティックハイドを展開し、悪態を残しながらもその場から姿を消すのであった。
「判断と割り切りの良さはいい。本当に子供か?」
自身の事を棚上げにする発言であったが、そのことについては後回しにする。
今は、自分に近付いてくる足音の主に対して、どういった状況説明をするのかに思考を割く必要があるのだから。
それを、ジョシュアが残していったデバイスを蒼月の格納領域に収容しながら考えていると、ライの耳に凛とした声が届く。
「動かないでください、時空管理局の者で…………って、ライさん?」
背後から警告を発してくる女性の声。その声が自身の名を読んだことに、少し驚きながらライはゆっくりと振り向く。
既に深夜という時間帯。光源は建物の光や街灯と言ったものしかないため、少々見辛くはあったが、ライの視界に映ったのは見覚えのある女性であった。
「ギンガ?」
元同僚の姉妹の姉の方であり、初めて出会
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