Vivid編
第九話〜素直な気持ち〜
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。それを受け取るとなのははちびちび舐めるように、グラスを傾け始めた。
グラスと瓶の中身が少しずつ減っていく中、少しだけ軽くなった口から最近感じている気持ちがなのはの口から漏れる。
「…………最近……ライ君、前みたいになった……」
「え?」
なのはの口から溢れた言葉を理解できず、フェイトは疑問の声を出す。それをどう受け取ったのかはわからなかったが、なのははぼそぼそと言葉を続ける。
「前は……六課の時は、恐る恐るだけど近づこうとしてきてくれたけど…………今はまた、一歩引いたというか………………怖がっている?…………」
あくまでなのはの主観の言葉であるから、フェイトには尋ねられても困るのだが聞き流すことはできない内容であった。
フェイトは目の前にいるなのはという女性が幼い頃から優れた感受性を持っていることを知っている。特に他人の感情に関しては、特に優れた幼児たちと同じくらいであると言っても過言ではない。
そんな彼女が感じたそれを、フェイトは黙って聞いていた。
「……怖がっている…………違う……あれはそういうのじゃなくて…………もっと、こう……怯えている感じ…………」
「怯えている?何に?」
「…………わかんない…………」
そこまで喋ると、まぶたと一緒に酩酊した意識が落ちていく。
そんななのはを見ながら、フェイトも酒気が入った頭で今の彼女の言葉を反芻していた。
「怯えている…………ライが怯えていたもの…………戦い……じゃないよね?」
手元にあるグラスの中身に視線を落としながら、フェイトは自身の記憶を掘り起こしていく。
「…………ギアス……でも、あれはもう…………ライの起源…………記憶…………過去?」
そこまで口にし、酒気からくる眠気で瞼が重くなってくる。
このままでは、寝てしまうと思ったフェイトは片付けもそこそこに、微睡んでいるなのはに肩を貸すと二人の寝室に向かう。
そして、ベッドに倒れこむようにして横になると、早々になのはの口からは寝息が聞こえてきた。それをBGMにしながら、フェイトも酔いからくる心地よい眠気に身を任せる。
最後にはっきりしない意識の中で、フェイトはポツリと先ほどのなのはのように自身の気持ちを吐露した。
「……頼って…………ほしい、な…………」
狙撃ポイント・ビル屋上
馬乗りに近い体勢で組み敷く男は、感情の感じさせない顔で組み敷かれている少年を見る。一方で、見られている方の少年はその幼さの抜けきらない顔に激情を乗せ、男を睨んでいる。
その対極的な表情をしている二人は数秒の間睨み合いを続ける。しかし、それも長くは続かない。
「…………」
「なんのつもりだ!」
無言で鼻先に突き付けて
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