第2章:埋もれし過去の産物
閑話6「古の戦い」
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「....遅かったね。」
「シュ、ネー...!」
「あはっ、ボロボロだね。でも...容赦はしない!」
再び、魔力が迸る。...それも、先程より強大だ。
「...染め上げろ。我が狂気に!!」
―――“悲哀の狂気”
...刹那、世界を狂気が覆った。
「「っ....!?」」
空を紅い暗雲が覆っている。それにも関わらず、赤い月が煌々と輝いている。
大地の様子は、先程とさほど変わらないが、血のような水面が、大地を覆っていた。
「...なん、だ...これは...!?」
「(血...いえ、幻覚!?けど、これは...!?)」
いきなり辺りの風景と雰囲気が変わり、動揺する二人。
「二人は止めるって言ったけどね、私は止まる気はない!!ムートはもういない世界なんていらないから!全部、全部全部全部!全て壊し尽くすためにも、私は止まらない!!」
「っ、ぁ...!?」
「ぐ...!?」
赤い水面に波紋が広がる。
それが二人の所まで来た瞬間、精神を蝕むような感情が流れ込む。
「ムートの為?いらないよそんなの!ムートが殺された時点で、そんなの関係ない!!私は全部壊さなきゃ気が済まないんだから!!」
「それ、を...ムートが望んでいると思っているのですか!?」
「うるさいうるさい!!全部、全部今更なんだよ!!」
再び、波紋が広がる。その度に、二人の精神が蝕まれる。
「ぁ、ぐ...!?」
―――殺したい壊したい悲しい苦しい怖い嫌だ死んで死に死死死死死死
それは、まさに狂気。
“狂気”が波紋となって、二人の心を蝕む。
「(...こんな..!こんな感情を、シュネーは...!!)」
狂いそうになるのを必死に耐えながら、オリヴィエは戦慄する。
...あぁ、彼女は、ここまで苦しんでいたのか...と。
「どうせ...どうせ誰も私の本当の気持ちなんかわかりやしない!!私が、どれだけ..!」
「っ.....!」
シュネーの叫びに、悲しみが混ざる。
「...だからさ、皆...皆、壊れちゃえばいいんだ!!!」
再び、魔力が膨れだす。...結界を発動する時に近い魔力量だ。
その間も、波紋は何度も広がり、二人の心を蝕む。
「....クラウス!!」
「...オリヴィエ!」
...だが、二人はその瞳に強い意志を宿し、それ以上の干渉を許さなかった。
「“狂気に染めし悲しみの紅”!!」
狂気を表すかのような紅色の極光が放たれる。
範囲も広く、既に
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