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トスカ
9部分:第二幕その二
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れこちらに来られました。別におかしなところは何も」
スカルピア   「子爵の影も形もないか」
コロメッティ  「はい、何も」
 すんなりと答える。
コロメッティ  「ありません、本当に」
スカルピア   「何処までも隠れるのが上手い男だ。このローマは歴史と共に街が造られた、様々なものが迷路の様に入り組んでな。子爵はローマのに水で生きてきた」
スキャルオーネ 「はい」
コロメッティ  「確かに」   
 上司の言葉に二人で頷く。
スカルピア   「そのローマの何処かで我々を見て哂っている。そうしてローマを去り頃合いを見て戻るだろう。我々が陛下の御不興を蒙り首が飛ぶのを見届けてからな」
スキャルオーネ 「我等の」
コロメッティ  「首を」
スカルピア   「そうだ首は惜しいな」
スキャルオーネ 「当然です」
コロメッティ  「とんでもありません。そうなれば」
スカルピア   「だからだ。スポレッタ警部」
スポレッタ   「はい」
 今まで青い顔をして黙っていたスポレッタが彼に応える。
スカルピア   「アッタヴァンティ夫人は今何処だ!?」
スポレッタ   「(おずおずとした声で)フラカスティに行かれてお留守でした」
スカルピア   「それは知っている。だが我々が近寄って来ないのでそれが気になっている筈だ。おそらく夫人の方からローマへ戻って来て嫌疑を打ち消すだろう。当然ここにも顔を出してくるだろうな」
スポレッタ   「ここにもですか」
スカルピア   「そうだ、そこで捕まえて白状させる。どんな手段を使ってもだ」
スポレッタ   「(驚いた声で)宮中にも強い影響力をお持ちの侯爵夫人をですか!?」
スカルピア   「(懐から扇を取り出して言う)これが何よりの証拠だ。それにトスカも関与しているかも知れん」
スポレッタ   「まさかそれは」
スカルピア   「否定できるか?完全に」
スポレッタ   「いえ、それは」
 口ごもってしまう。

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