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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第40話 企み
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ゼツは、人間を捕食する性質があった。
そのため、暁では主にメンバーが殺された時の後始末を請け負っている。

忍による力は、遺伝子や個人の肉体による所が大きく、身体全てにも秘密が詰まっていると言っても過言ではない。
血継限界や開発した術など強大な力を持つ忍情報が他の里に流失し、奪われるのを最も恐れている。
忍の死体は宝の山と呼ばれる所以だ。
大袈裟に言ってしまえば、自分の里特有の術や能力が盗まれて、使用されたり、弱点を炙り出され対処されたりしてしまう。

だから、無断で里を抜けたサソリを血眼になって砂隠れの里が探しているのもそのためだ。
ゼツは、メンバーの死体を捕食し、遺さない。
組織にとっても敵対した際やメンバーが殺された場合に都合の良い能力を持っているといえる。

サソリが敗北した後で、死体だと思って処分しに来たゼツはサソリが息絶えていないことを知った。
知った後で、サソリをこの奇妙な実験が行われている『学園都市』なるものに移動させた。
なぜ、殺さずにここまで運んだのか?
木山に近づき『実験の協力者』であると語り、実験に加担したのは何故か?
目的は何だ?

******

夕暮れの学園都市に木山を背負ってサソリが学園都市の建物の壁を伝いながら斜めに昇っていく。
ビルの全てが滑らかな垂直の壁ではなく、窓枠や風雨に晒されて微妙な凹凸が形成されている。
サソリは、木山がしっかりと捕まっているのを身体で確認しながら上に上に昇っていく。

本当は、チャクラ吸着を使い二本足で走った方が早いが木山の負担を考えてしまえば、ロッククライミングに近い形を取らざるを得ない。
夕立は弱くなり、パラパラと身体に降り、幾筋の水滴となって身体に付着する。
「まだ大丈夫か?」
「大丈夫だが、君の方が心配だ」
「これぐらい軽い。少しスピードを上げるからしっかり力を入れろよ」
「......ああ」

サソリは体重支持を左手に任せ、右手からチャクラ糸を出して木山と自分をしっかり密着させて固定させる。
「!?」
チャクラの概念がない木山でさえも、サソリの四肢から青いエネルギーの塊が燃えだした。
「よし」
サソリはビルの壁と屋上を見上げた。
雨が降り続いている。
己が犯した罪を再確認するかのようにシトシトと降っている。
ルートを頭に叩き込むと、サソリは両足に力を入れて軽く飛び上がるように腕を上に向けて進ませる。

普通の人とは違い、澱みなく昇っていくサソリに木山は感心した。

敵対した時に見せた特異な能力
子供の姿で大の大人を一人背負って軽々とビルを昇っていく事に大いに感心した。
そして、厚手の服地の下から掴んで伝わるガッシリとした筋肉。
並外れた身体能力を説明するには十分だった。

......一体

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