第10話 叶えて欲しい
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僕のどうでもい悩みを知らない凛は『かよちん...やっぱりアイドルしたいんだよね』と独り言を呟く。
───第10話 叶えて欲しい ───
「かよちん、来るの遅いね〜」
「そうだね〜。凛ちゃんが来てから2時間以上は経つのに...そんなに大変な仕事を手伝っているのかな?」
「でも先生、そんなに時間かからないって言ってたよ?」
ということは、花陽が手間取っているか、思った以上に量があるか。花陽は僕と違ってマイペースだから時間がかかっているのかもしれない。
まぁ、それも彼女の魅力の一つなんだけどね。
「そうだ。今かよちんの夢が〜って話してたけど、春くんの夢ってやっぱり”昔と変わらない”のかにゃ?」
「うん、何も変わってないよ。高校卒業したら専門学校で調理師免許取って、将来は食堂とか開いてみたいなぁ〜っていう夢は相変わらずだよ」
「その時は毎日春くんのお店に行って無料でラーメン食べに行くにゃ!」
「はは♪その時は凛ちゃん専用のラーメン準備するからね」
無料で食べにくるとか僕の食堂を潰す気でいるな?
無料サービスを取り扱っている店は数々あるけど、実は大きな赤字になる覚悟故のサービスだ。それを知ってても無料にする店は元が他の方法で取れてるからできるのであって、個人営業の店の大半は無料なんてことはできない。
チェーン店は店のブランドと味が安定してるから安定したお客を呼び込むことが可能なのだ。
味を安定させるのはどの店も同じことだが、安定した客を呼び込むことは至難である。
「そうすればりんの財布からお金が減ることも無くなるし、お腹いっぱい春くんの作るラーメンが食べられるし、一石二鳥だにゃ!!」
凛は店の裏事情を知らないからとんでも発言ができるんだよね...
とりあえず、無料どうこうの話は僕が食堂を開かない限りどうもできない話なので今は置いておいて。
僕は凛の短くてサラサラな髪を撫でながら質問をする。
「そういう凛ちゃんこそ、将来やりたいことは決まったの?」
「う〜ん......」
僕の質問に唸り声を上げながら首をかしげる。
そして何故かもぞもぞと膝の上で動いて正面に向き直って困り顔を見せてくる。
...そう、凛は今僕の膝でもぞもぞ動き出して、降りるのかと思ったら僕の方へ向き直る。目と目が合う対面した座り方...花陽ちゃんの家で読んだことのある恋愛漫画で読んだ彼氏彼女の座り方になっている。
(流石にこれは恥ずかしいなぁ...)
凛は何とも思ってないのか、それどころか、テーブルに置いてあるオレンジジュースを手に取ってストローで吸い上げながら僕の瞳をのぞき込むようにしてじっと見つめてく
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