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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第八話 南西諸島攻略作戦(前編)
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あの子たちのことはずっと気にかけていたわ。」
「それでとても強かったんですね。」
暁が言った。
「そんなことないわよ。まだまだだわ。でもね、だからこそずっと構いたくなるの。その可能性をこれからも残してくれた皆にはとても感謝しているわ。」
「それは紀伊や鳳翔、ビスマルクたちに言うべきじゃの。吾輩たちが苦戦しているところを間一髪で駆けつけてきたのだからな。」
「ええ。紀伊さんたちがいなければ、私たちも轟沈していました。」
「そうなったら、わたくしたちも大切な仲間を失うところでしたわ。」
「だよね、ほんと感謝しているよ。」
「私たちもです。」
皆がいつの間にか紀伊をしみじみとみている。紀伊はなにやら面映ゆいような感じがしていたたまれなかった。
「あ、あの、その、別に私一人の力なんかじゃ・・・・ご、ごめんなさい。ちょっと中座します。」
逃げるようにして席を立っていった紀伊を皆が笑った。
「シャイなのよね、あの子。」
足柄が面白そうに言った。
「ええ、でもとてもまっすぐな方ですわよ。直向で――。」
「そしていつの間にか皆から構われるんだから、大したもんだよね。」
「なのです!」
皆は紀伊がいなくなっても、ワイワイと盛り上がり話に花が咲いた。

その様子を遠くの席から目を細めながら赤城は眺めていた。
「何を見ているの?」
加賀に話しかけられた赤城は微笑したまま顔を加賀に向けた。
「とても楽しそうだと思って。そう思わない?」
「ええ。」
加賀はうなずいた。
「不思議ですね。たった一人の艦娘が仲がいいとは言えなかった重巡や航空巡洋艦、そして駆逐艦娘までも同じ席に着かせてしまっています。」
「・・・・・・・。」
「普段ならあり得ないことです。艦種が異なる艦娘は艦隊編成の時や演習等以外は同じ仲間同士で集まるのが普通なのに。」
「それはあの人が特別だからということが言いたいの?」
加賀の声は相変わらず乾いていたが、どこか赤城をはっとさせる調子がにじみ出ていた。
「いいえ、そんなことはありません。」
ゆっくりと首を振りながら赤城は言った。
「あの人も私たちと同じ艦娘です。でも、あの人がいるところいつの間にか輪ができている。それはあの人がとても優れているからではなくて・・・・。」
一瞬加賀が体を動かした。赤城は加賀の反応を見ながら話をつづけた。
「皆あの人が好きだからです。私はそう思います。」
「でも、どこか私たちと違う・・・。」
加賀のつぶやきを赤城は黙って聞くだけだった。

 紀伊が外に出るといつの間にか色とりどりの星屑が夜空にちりばめられ、大海原には無数の白く輝くきらめきが揺蕩っている。遠くからかすかにピアノの音が聞こえてくる。何の曲か途切れ途切れでわからないが、しっとりとした穏やかな音色が夜の空にとけ
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