6部分:第一幕その六
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面を思わせる表情に黒と赤で色彩られた服、山の様な背丈、古代ローマの剣闘士を思わせる身体、秘密警察の首領ヴィットーリオ=スカルピア男爵である。彼はそのまま教会の中央に来る。そうして指示を出す。
スカルピア 「出口は全部押さえろ。猫の子一匹逃すな」
警官達 「わかりました」
スカルピア 「相手は悪賢い。何処に潜んでいるかわからないからな」
急に出て来た警官達と彼の姿を見て皆怯えている。だがスカルピアは彼等に対して言う。
スカルピア 「諸君等は気にすることではない。礼拝の準備を進めるのだ」
神父 「(怯える声で問う)宜しいのですか?」
スカルピア 「何を言っている。今日は戦いに勝ったことを祝わなければならない」
神父 「それはそうですが」
スカルピア 「わかったら早くするのだ。いいな」
神父 「わかりました。それでは」
聖職者達も市民達もまだ怯えている動きを再開した。その中にエウゼッペとゼッナリーノもいる。彼等は人の中に隠れて黙々と働いていたがスカルピアに声をかけられて飛び上がる。
スカルピア 「おい、そこの二人」
エウゼッペ 「は、はい」
ゼッナリーノ 「何でしょうか」
スカルピア 「御前は確かここの堂守だったな」
スカルピアはエウゼッペに顔を向けて問う。
スカルピア 「御前に聞きたいことがある」
エウゼッペ 「(怯えきった様子で)な、何でしょうか」
スカルピア 「まずは近くに来い。いいな」
エウゼッペ 「わかりました。それでは」
言われるがままふらふらとスカルピアのところまで来る。そうして彼に応対する。
スカルピア 「(低く恐ろしい声で)ここに囚人が一人逃げ込んだとの報告があった」
エウゼッペ 「若しかしてそれは」
スカルピア 「知っているな。名はチェーザレ=アンジェロッティ、元ローマ共和国の領事だ。その男の家の礼拝堂はここにあったと思うがどうだ」
エウゼッペ 「その通りでございます」
スカルピア 「そうか。それは何処だ」
エウゼッペ 「あれです」
その礼拝堂を震える手で指差す。スカルピアはそれを見るとすぐに部下の一人スキャルローネに顔を向けて指示を出す。
スカルピア 「スキャルオーネ」
スキャルオーネ「はい」
スカルピア 「礼拝堂を捜せ。いいな」
スキャルオーネ「わかりました。それでは」
スカルピア 「うむ」
スキャルオーネはすぐに二人の部下を連れて礼拝堂の中に入る。暫くして扇を持ってスカルピアの前に戻ってきた。
スキャルオーネ「こんなものがありました」
スカルピア 「扇か。しかもこれは」
スキャルオーネの手から扇を受け取り直接調べる。すぐ
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