五十三話:敵は内にあり
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だが、聞いたところでこの男が親切に答えるはずもない。三人の疑いの視線にも何事もなかったように平然と無視をし、切嗣は冷たく硬い引き金を引くのであった。
―――熱い。熱くてたまらない。小さく口から空気を吸い込むだけで喉が焼けただれそうになる。バリアジャケットには温度調節機能も備わっているというのに、張り巡らした防壁があるというのに、その炎は苛烈さを損なわない。
「どうしたのかね? 防いでいるばかりでは勝てはしないよ」
「くっ……アクセルシューター!」
なのはは防御を固めながら二十個以上のシューターを同時に飛ばす。その全てが違う速度、異なる軌道を描いており全てを防ぐのは不可能に近い。だというのに男は一瞬でそれら全ての速度と軌道を計算し同じようにシューターを打ち出し相殺する。
「他愛ない」
「ショートバスターッ!」
だが、なのはもそれだけでは終わらせない。威力を殺して速度を上げた砲撃で狙い撃つ。流石に正面から受け止めるのは不利だと判断した男は横に移動しそれを躱す。そこへ先端がまるで槍のようになったレイジングハートを構えたなのはが突進してくる。
『Excellion Buster Accelerate Charge System.』
「突撃とは……優雅ではないな」
本来であればそれは相手の防御を突破しゼロ距離の砲撃を打ち込む捨て身の技である。それをなのははレイジングハートに行わせ自身がシールドを張ることで防御性を兼ね備えた近接魔法として扱っている。その速度はさながらロケット弾。気づいた時点で躱すことはできない。
「躱せないのであれば、受け流すのみ」
男は湧き上がる炎を圧縮させ一つの上昇流を作り出す。そしてその強烈な上昇流をもってなのはの軌道を僅かに上方向へとずらし力のベクトル利用しステッキでレイジングハートの刺突を受け流す。あまりの常識外れの荒業に叫び声をあげたくなるなのはであったがそこで動きを止めるほど甘くはない。
「ディバインシューター!」
すぐさま防御を解き、動きながらでも放てるシューターを振り向きざまに放つ。だが、相手もさるもの。ステッキを一振りし炎の障壁を作り出しシューターを塞ぎ止める。そして間髪をおかずに巨大な火球を連射してくる。
「レイジングハート、お願い!」
『Straight Buster.』
エクセリオンバスターの応用である直射砲を連なるか急に向け放つレイジングハート。ストレイトバスターの特性は反応炸裂効果である。敵密集地において敵対象を伝播して連鎖爆発を引き起こす。そして今回も例に漏れずに吐き出された火球すべてを連鎖爆発させた。
「つ…強い……!」
「そちらも中々の腕の持ち主だ。やはり失うには惜しい人材だ。どうだね、今から
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