31部分:第五幕その五
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第五幕その五
スポレッタ 「トスカさん、やってくれましたね」
トスカ 「お気付きになられましたのね」
スポレッタ 「はい、おかげさまで。報告に参上したところね」
左手にトスカがスポレッタを刺したナイフを持っている。それをトスカに見せて言う。
スポレッタ 「しかも子爵までおられるとは。不思議ですな」
カヴァラドゥッシ「悪運が強くてね」
スポレッタ 「どうやら。まあそれはいいでしょう」
このことには安心した顔を見せる。
スポレッタ 「では私もまたシチリアの男。仇は取らなければなりません」
カヴァラドゥッシ「だからこそここに来たのか」
スポレッタ 「そうです。あの方を殺した罪を償って頂きますよ」
一旦ナイフを床に放り投げる。乾いた音が響く。
スポレッタ 「我等の主の命は高くつきますよ」
カヴァラドゥッシ「フローリアには指一本触れさせないぞ」
トスカの前に出て言う。
カヴァラドゥッシ「何があってもな」
スポレッタ 「御心配なく、子爵にもトスカさんにも指一本触れませんよ」
そう言いながら懐から拳銃を取り出す。
スポレッタ 「今ここで主の下へ行って頂きます」
兵士達も警官達も銃を出す。それで撃とうとする。
スポレッタ 「シチリアの掟、その身を以って教えて差し上げます」
カヴァラドゥッシ「くっ・・・・・・」
ここでトスカが急に動く。ミカエルの像がある高台の方へ走る。そうしてそこからスポレッタ達の方を振り向いて高らかに言い放ってくる。
トスカ 「貴方達に殺される位なら、またマリオを殺させる位なら」
そう彼等に対して言う。
トスカ 「私はここから飛び降りて貴方達の罪を全て主の御前で申し上げます!!」
スポレッタ 「くっ、まさか!」
トスカ 「さあ、どうするの!?」
毅然として彼等に言う。
トスカ 「マリオを助ける為なら私は」
カヴァラドゥッシ「フローリア、君は」
トスカ 「さあ、退きなさい!」
兵士達 「警部、どうしますか?」
兵士達 「ここは」
スポレッタ 「うう・・・・・・」
逡巡しているその時に。ローマ中から大歓声が沸き起こる。
兵士達 「何だ!?」
兵士達 「どうしたんだ!?」
声 「ナポレオン万歳!」
声 「フランス万歳!」
スポレッタ 「ボナパルト・・・・・・フランス・・・・・・まさか」
二人 「スポレッタ、まずいぞ!」
コロメッティとスキャルオーネが慌ててやって来る。そしてスポレッタに言う。
二人 「アンジェロッティ侯を共和主義者達に奪われた。彼と共にフランス
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