31部分:第五幕その五
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軍がローマの前に姿を現わしたんだ!」
スポレッタ 「ではこの歓声は」
スキャルオーネ「そうだ、その通りだ」
コロメッティ 「今すぐ逃げるぞ。さもないと殺されるのは我々だ」
スポレッタ 「そうだな」
蒼ざめた顔で頷く。そして周りの者に言う。
スポレッタ 「すぐにローマを脱出する。いいな」
警官達 「わかりました。それでは」
スポレッタ 「早くしろ、いいな」
警官達 「はい」
こうして彼等は慌しく姿を消す。スポレッタが最後に去るがこの時二人の方を見て言う。
スポレッタ 「お元気で」
そう言い残して立ち去る。後には恋人達が残されるがそこにアンジェロッティがフランス軍の兵士達と共にやって来る。舞台中央の二人を囲む。
アンジェロッティ「無事でよかった」
アンジェロッティはカヴァラドゥッシと手を取り合う。トスカと三人でフランス軍の将兵達に囲まれている。
カヴァラドゥッシ「アンジェロッティ、君こそよく」
アンジェロッティ「警官達に追い詰められた時には流石に駄目だと思った」
カヴァラドゥッシ「それでどうして助かったんだい?」
アンジェロッティ「彼等のおかげだよ」
フランス軍の方を見て言う。
アンジェロッティ「今将に捕らえられようとしていた時に現われたんだ」
カヴァラドゥッシ「こちらにも来ていたんだね、フランス軍は」
アンジェロッティ「そうさ、それで僕を助け出してくれてね」
カヴァラドゥッシ「奇跡のような話だ」
アンジェロッティ「彼等を導いてくれたのはこの方だよ」
ここでフランス軍の中の一人を指し示す。
アンジェロッティ「この方こそ僕の命の恩人なんだ」
一人の男が出て来る。トスカは彼の姿を見て思わず言う。
トスカ 「貴方じゃ」
紅い衣の男である。彼はトスカの前に来て左目でウィンクをする。
カヴァラドゥッシ「どうしたんだい、フローリア」
驚いた声をあげるトスカに問う。
カヴァラドゥッシ「急に声をあげて」
トスカ 「それは」
言おうとしたところで男はにこりと笑って今度は右目をつむって右手でやんわりと制止する。その仕草はやけに子供っぽく芝居がかっている。
アンジェロッティ「何でもフランスともこのローマとも縁のある方でね」
カヴァラドゥッシ「へえ」
アンジェロッティ「それで僕を助けることができたらしいんだ」
カヴァラドゥッシ「そうだったのか。ところで君はこれからどうするんだい?」
アンジェロッティに顔を向けて問う。
アンジェロッティ「僕はまたこのローマで領事を務めさせてもらうよ。そして今度こそこのローマを自由と平等が息吹く街にしてみせるよ」
カヴァラドゥッシ「いや、それだけでは駄目だ」
アンジェロッティ「何かあるのかい?」
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