30部分:第五幕その四
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く激しいものになっていく。
ここで手がカヴァラドゥッシの腕に触れる。そこで手に着いたものを見てトスカの顔から血の気が一斉に引いていく。
トスカ 「血・・・・・・そんな、マリオ!」
まさかと思いギョッとした顔になる。ここでカヴァラドゥッシの声がする。
カヴァラドゥッシ「フローリアかい?」
トスカ 「(その声を聞いてほっとした顔になって)よかった、生きていたのね」
起き上がるカヴァラドゥッシに抱きつく。その目から歓喜と安堵の涙が溢れ出る。
カヴァラドゥッシ「フローリア・・・・・・」
カヴァラドゥッシも身体を起こす。そうして二人は蹲ったまま抱き合う。
トスカ 「若しかしたらって思ったのよ・・・・・・怖かったわ」
カヴァラドゥッシ「フローリア、スカルピアは約束を守るつもりはなかったんだ」
そうトスカに囁く。
トスカ 「どういうこと?」
カヴァラドゥッシ「あの警部を見てわかったんだ。妙に態度がよそよしかっただろう?」
トスカ 「(言われてはじめて気付いた顔で)そういえば」
カヴァラドゥッシ「だから僕はあの時十字架を受け取って君に別れを告げたんだ。もうこれで最後だと思ったからね」
トスカ 「そうだったの」
カヴァラドゥッシ「うん、けれど君の贈り物が僕を救ってくれた」
トスカ 「貴方を?」
カヴァラドゥッシ「そうさ、ほら」
十字架を出す。見れば所々が砕けている。
トスカ 「ああ・・・・・・貴方のかわりに」
カヴァラドゥッシ「腕に一発当たって貫通したみたいだけれどね。他は全てこの十字架が守ってくれたよ。君がくれたこの十字架が」
トスカ 「いえ、それは違うわ」
その十字架を手に取って言う。
トスカ 「神の御力よ」
カヴァラドゥッシ「そうかも知れないね」
二人は微笑み合って言い合う。そうして立ち上がる。
カヴァラドゥッシ「じゃあ行こう、ローマを出て」
トスカ 「ヴェネツィアへ」
去ろうとする。しかし左手から声がする。
スポレッタ 「逃がすな!」
トスカ 「気付かれた!?」
カヴァラドゥッシ「まずいっ」
スポレッタ 「まだ上にいる!」
カヴァラドゥッシはトスカを後ろに庇う。左手からスポレッタが警官や兵士達を連れてやって来る。
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