第22話
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「違うなんて………!」
ティオに見つめられたロイドは真剣な表情で否定しようとしたが
「事実ですから。外界の事象に関して………わたしは普通の人間の数倍の感応力を持っています。普通の人には聞き取れない微かな音。普通の人には見えない導力波の流れ。普通の人には感じられない属性の気配。そして……人の感情や心のゆらぎまで。」
「あ………」
ティオが次々と口にした話を聞いて心当たりがあるロイドは呆けた。
「日曜学校に行っても………わたしは一人ぼっちでした。周りの子達とは違ったものを見て違ったものを感じて……そして見えない悪意や好奇心もはっきりと感じ取れてしまう………両親はわたしを愛してくれましたが………やはり限界があったんでしょう。次第に家の空気が張りつめて………わたしは気付いてしまいました。ああ―――帰って来なければよかったって。」
「っ………!」
寂しげな笑みを浮かべて語るティオの話を聞き、ティオの壮絶な過去にロイドは息を呑んだ。
「そして気付いたら………わたしは列車に乗っていました。共和国を経由してクロスベルに向かう列車に。」
「そうか………ティオは………兄貴に会いに来たんだな?」
「………そうかもしれません。そのマスコットをプレゼントしてくれた時にガイさんが言ったんです。『―――安心しろ。きっとお前は幸せになれる。もし、そうならなかったらいつでも俺を呼んでくれ。お前を不幸にする原因を一緒にぶっ飛ばしてやるからよ!』」
「はは、いかにも兄貴が言いそうな言葉だけど………でも………ちょうどその頃に兄貴は………」
「………………………」
自分の話を聞いて苦笑した後ある事を言いかけたロイドの言葉に頷いたティオは端末に視線を向けた。
「――途方に暮れていたわたしはエプスタイン財団の人と知り合って………その感応力を見込まれて、当時発足したばかりの魔導杖の開発チームにスカウトされました。そしてレマン自治州に渡り、財団の研究所で3年間過ごして………そして3ヵ月前、再びクロスベルに戻ってきました。」
「………ティオ………………」
ティオの話を聞いていたロイドは静かにティオを見つめた後、ティオに近づいて頭を撫でた。
「……あ………」
「……ゴメンな。突然いなくなっちまうようなバカ兄貴で………女の子との約束を守らないなんてホント、兄貴らしくもない………」
「………ロイドさん……」
申し訳なさそうな表情で語るロイドの話を聞いたティオが辛そうな表情をしたその時、エニグマが鳴りはじめた。
「あ………」
「……ヨナみたいですね。」
「”仔猫”が現れた………!今、ちょうどこっちが用意したエサを発見したところだ!追い込んでいくからサポートを
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