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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第2話『キミのなまえ』
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ああと二日三日って所かな、気長に待つとするさ』
「了解。なるだけ早めに済ませるよ」
魔石に通していた魔力を戻し、魔石をポーチに仕舞い込む。街で何枚か買っておいた魔力補充用のクッキーを咥えて、もう一枚を少女に渡す。別に彼女は魔力を消費した訳ではないが、魔力は一定以上溜まると勝手に体の構造強化に回される為、摂りすぎて悪いという事は無い。加えて普通に食料としても使える。問題は無いだろう。
クッキーを受け取った少女は嬉しそうにそれを咥え、サクサクという音と共に咀嚼する。
死徒とはいえ、温かみを感じるその光景に心を和ませつつ、咀嚼しきった自分のソレを飲み込み、問い掛ける。
「そういや、名前とかあるのか?」
「…………?……ぁ、か……ぃ」
一瞬硬直して首を傾げた少女は、やっと意味を理解したかの様に口を開く。が、そこから紡がれる声は途切れ途切れで、掠れきった声は辛うじて空気を震わせるのみに留まる。
顔を暗くした少女は、何かを探す様にキョロキョロと辺りを見回しだした。
「ぁ−−ごめん、喉が使えないんだったな。別にいいんだ、必要って訳でもないし」
それでも少女は見回すのを止めず、付近にあった小枝を掴むと、それを地面に当てた。そのまま動きを止める事なくペンの様に小枝を滑らせ、昨日の雨で少し湿っていた砂の地面に文字を──
「……って、文字も書けるのかっ!?」
「……?」
さも当然というかの如くコクリと頷き、拙いながらもこちらに分かる様、文字を綴っていく。
──Wわからない なまえも おもいでも ぜんぶないのW──
……死徒ならば、珍しい事でもないだろう。そも、肉体が部分的とはいえ腐っているのが特徴の種族なのだ。記憶に障害が出でもおかしくはない。
「……死徒特有の腐食か。それとも、物心着いたのが最近って事か……?」
「……ぅ、……?」
無駄な憶測だけが脳裏を飛び交い、億劫さを感じて思考を止める。ここで幾ら推論を出そうと、その全ては確認の取りようがない。ならば、有意義に行動を起こすのが得策というものだ。
本題を、切り出すとしよう。
「……君を襲った人たちの事、覚えているか?」
「……!」
ピクリ、と。
肩に僅かな怯えが現れ、明らかに暗い表情を浮かべる。が、ここで話を切り上げる訳にもいかない。彼女には悪いが、伝えるだけは伝えねばならない。
「……その人達がわざわざここに来てまで君を襲ったのは、君を殺す事自体が目的じゃないんだ。ここを欲しがっていた。この使われなくなった墓場を、新しい土地として使いたかった……って言えば、分かるかな」
「……」
未だその身には怯えを宿しているものの、彼女は小さく頷く。感情に
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