第52話残酷な兄妹の現実、そして少女の言葉を心を洗って・・・
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焦っていた。今すぐ助けに行きたくてウズウズしているのを無理矢理抑えていただけだったんだ。少し考えてみれば分かるはずだった。竜くんは自分達が戦う術を消される事と、二人にこれ以上の危険が降りかからないようにしたかったんだ。竜くんに言われてキリトくんとミストは少しだけ落ち着きを取り戻し、抵抗する事をやめたーーー
「和人って・・・どういう事?」
『?』
私達の後ろで、『和人』という名前に反応したリーファちゃんが私達に声を掛けた。口を抑え、後退りながらーーー
「・・・俺の本名は桐ヶ谷和人、SAO生還者だ。俺は・・・俺とライリュウはある二人の女の子に会うためにALOに来た。一人はライリュウの妹、神鳴未来。もう一人は、俺の恋人・・・結城明日奈」
キリトくんがALOに来た理由、素性全てをリーファちゃんに明かした。それによりリーファちゃんの顔は哀しみに染まり、目からは一筋の涙が流れる。この時彼女が発した言葉を、私達は聞き逃しはしなかった。
「似てるとは思ってたけど、キリトくん・・・
お兄ちゃん、なの?」
『・・・え?』
お兄ちゃんーーーその言葉を聞いて、昨日彼女が言っていた言葉を思い出した。
『キリトくんの顔が・・・どことなく、あたしのお兄ちゃんに似てて・・・』
あの時彼女はこう言った。似てるんじゃなくてーーー
「・・・スグ?直葉なのか!?」
本人だったんだ。
「・・・ひどいよ。あんまりだよ、こんなの・・・」
「ス、スグ・・・?」
リーファちゃんは左手でシステムウィンドウを操作し、キリトくんの呼び掛けにも耳を傾けずにーーー
「スグ・・・!!」
今この場から姿を消し、現実の世界に戻ってしまった。
この残酷な光景を前に、私達は固まってしまったーーーただ一人を除いて。
「行けよ」
キリトくんと同じく、妹のいる兄ーーー神鳴竜。
「さっさと行ってやれよ!!何が『俺も妹いる兄貴だから』だ!!メチャクチャ嫌われてんじゃねぇか!!よくそんなんでオレや未来の事に口出せたな!!ふざけんな!!何より家族も大切に出来ねぇ奴が、恋愛だのなんだの語ってんじゃねぇぞ!!行かねぇなら今ここでお前を斬り捨てるぞ、桐ヶ谷和人!!」
SAOでの話をしているのか、今ここで起こった状況の事を言っているのか、それはデスゲーム途中離脱の私達には分からない。けど竜くんの言っている事は分かる。彼は今友達としてではなく、『兄』としてキリトくんに伝えようとしてるんだ。
「・・・ユイ、ライリュウ達と一緒に待っていてくれ」
「パパ?」
「・・・パパな、パパの妹と・・・ユイの叔母
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