第10章 エル・ファシル掃討作戦 後編 C 虐殺の先にあったもの
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たグリューネマン少佐の部隊と合流後、私にとってのエル・ファシル掃討作戦の最後の流血は終わった。
それから1週間後、エル・ファシル掃討作戦派遣軍は撤退を開始した。
この後の治安回復・維持作戦は第101空中強襲師団・第199機甲師団・第188.183山岳師団・第91後方支援集団と第9方面軍後方支援集団を基幹とするエル・ファシル治安維持軍が担うこととなった。
私の兄であるマースト・フォン・シュナイダー帝国軍中佐はフェザーン経由で帝国へ帰った。
帰り際に兄は
「今度会うときはおそらく戦場だ。
その時まで達者でな。
それと」
と言ってポケットからごそごそとあるペンダントを渡してくれた。
見ると、そこには父と母そして幼かった頃の兄と赤ん坊の私がいた。
兄は
「俺にはもう一個これがある。
お前にこれをやる。
シュナイダー。必ず生き残ろう。
生き残ってこの不毛な戦争を終わらせよう。
それまで生き残るんだ。父さんと母さんのためにもな。」
と言って敬礼をしてきた。
私も敬礼を返して兄はこちらを振り返ることなくシャトルへ向かった。
私たちは5月7日にハイネセンに到着した。
到着ロビーには軍・民問わずいろんな人々が帰りを待っていた。
私は大将の救出作戦ののちに第1級戦功勲章を授与され、先にもらったブロンズスター勲章とエル・ファシル掃討作戦従軍章を胸につけてシャトルを降りた。
第3中隊もここから2週間休暇に入る。
つかの間の休息になるのかそれとも緊急招集を食らって消えるほど軟な休暇なのかは検討がつかなかったがとにもかくにも休暇であった。
ニコール軍医中尉はハイネセン勤務なので少しは一緒にいられそうだ。
到着ロビーを出るなりニコールを探す。
きょろきょろ見渡すとニコールを見つけた。
向こうも探しているようだった。
そのまま人ごみをかき分けて直進していく
向こうも気づいたようだ。
そのまま、一気に現実を忘れるためニコールのもとへ走った。
こうして私にとっても同盟軍にとってもつらく血みどろなエル・ファシル掃討作戦は終わった。
宇宙歴793年5月7日のことである
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