第10章 エル・ファシル掃討作戦 後編 C 虐殺の先にあったもの
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つでもかかってこい。いつでも相手してやる。」
と豪語したため一層事態は深刻になっていた。
そういったこともありベルクホーフ駐屯地は厳戒態勢であった。
大将は何も見ずに演説を始めた。
彼は部下たちからの信認は非常に篤い。
指揮統率能力・作戦立案能力・部下の面倒見がよいこともそうだが何よりも演説が短いのである。
最短記録は第22方面軍憲兵隊司令就任時の演説で2分31秒であったという。
しかし、もっと短い記録を持つ人物がいる。
それは第20機甲師団 師団長代理 ジョンソン・ダールキスト准将である。
それも、0秒
第5戦車中隊指揮官代理のカレン・ヨハスン少尉と士官学校2期上の師団後方支援幕僚であったマレン・ジョンソン大尉から聞いた話によると
ダールキスト准将は師団が担当戦区の掃討作戦を完了したのちに師団観閲式を行ったそうである。
師団に所属するのは第122装甲軽歩兵旅団、123,124,125そして第126機甲旅団であった。
しかし、広々とした観閲式演習場には約2個旅団程度の隊員しかいなかった。
それにカレン少尉の所属する第126機甲旅団に至っては1個連隊もいなかった。
当然観閲式の際は穴だらけで明らかにおかしいに決まっていた。
第126機甲旅団長代理であった第12戦車連隊指揮官 アレク・マッカートニー大佐は
「あの禿鷹野郎にそれを見せてやれ。」
と言ってわざわざ通常通りの並び方をさせた。
ほかの旅団もそれに同意し、当日の入場行進後の整列は異様であったとカレン少尉は話していた。
新聞になっていたので写真を見たが、それはまあという悲惨さであった。
虫食い状態の騒ぎではなかった
戦車を装備しているとはいえ、全員徒歩での入場だったが明らかに穴が開きすぎなのだ。
これを見たダールキスト准将は怒り狂って、師団参謀長代理 ムスタファ・レーム大佐に「何事か」と食らいついた。
もともとレーム大佐は第123機甲旅団第9戦車連隊指揮官であったが、第9戦車連隊の隊員が約1個中隊で行進していくのを見て
「この場にいない隊員は全員戦死しました。」
と自分の率いた連隊員たちのの背中を見送りながら涙をこらえて返したそうだ。
それに言葉を失った、准将はそのあとの観閲式進行役に命じて演説を取り消そうとしたが、進行役はあえてそれを無視したらしい。
もうめちゃくちゃだ。
壇上に上がった准将は恐怖で震える手で敬礼をしながら師団の恨みを一身に受けて何もしゃべらずに降りてしまった。
そんなことを思い出しながら壇上で大将が話し始める。
「ここに今日集まった将兵諸君!・・・」
とはじまったが噂通りで、ものの1分だったがかなり中身の濃いことを言って演説は終わった。
そこから、殊勲部隊表彰等ののちに退場行進をして式典は終了となった。
しか
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