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ローゼンリッター回想録 〜血塗られた薔薇と青春〜
第10章 エル・ファシル掃討作戦 後編 C 虐殺の先にあったもの
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シュナイダー帝国軍中佐に会いに行った。
彼は航空基地攻略作戦時に捕虜にした士官である。
私はどうしても彼のことが気になってしょうがなかった。
というのも、死んだ父に非常に似ているからであった。
可能性として、生き別れた兄である可能性が高かったのだ。

4月21日 第3捕虜収容所
警備兵にIDを見せて収容所の面会室に通される。
面会室といってもテーブルとイスがあり、コーヒーメイカーがあり、メモ帳などもある部屋だった。
私の向かいに座ったのはマースト・フォン・シュナイダー中佐であった。
中佐は敬礼して
「久しぶりですね。
エーリッヒ・フォン・シュナイダー中尉」
と流暢な同盟語で返してきた。
私も敬礼を返した。
面会時間は30分と決められていたので単刀直入に話に入った。
「中佐。
さっそくですが、あなたのお父様はエルビィン・フォン・シュナイダー帝国軍准将ですか?」
と聞いた。
彼は一瞬顔をひきつらせたがすぐに、微笑みながら
「少し違いますね。
父は帝国軍准将ではなく帝国軍中将です。
エルビィン・フォン・シュナイダー帝国軍中将です。」
私はもはや抑えられなかった。
涙があふれてあふれてどうしようもなかった
すると、中佐は
「中尉。
私はずっと君に逢いたかった。
今こうして敵味方になっているが、あえて本当に良かった。」
と涙ぐみながら言ってきた。
私は
「本当に貴官は私の兄なのですね?」
と聞いたら中佐は
「そうだ。私は君の兄だ。」
と返してきた。
その後、死んだ父の話や兄が帝国軍に連れ去られたのちの話などを話してくれた。
面会時間はあっという間に過ぎ、警備兵の1等兵が呼びに来るまで我々は兄弟であった。
現実はそう甘くはなかった。
兄の服装は帝国軍中佐の軍服であり、私も同盟軍中尉の制服である。
お互いに敬礼をして、帝国語で互いの武運と幸運を祈り、その場ではわかれた。
いろいろと複雑な心境のまま私は宿舎に向かった。

翌日 ベルクホーフ駐屯地にて掃討作戦終了宣言がなされた。
壇上に体格の良い初老の男性将官が立つ。
彼はエル・ファシル掃討作戦派遣軍総司令官マック・エベンス大将
エベンス大将は同盟軍内では彼ほど治安維持作戦に長けた者はいないと称されるほどの士官である。
士官学校卒業後、憲兵士官としてキャリアをスタートした彼は第1艦隊憲兵隊の中で汚職・集団暴行等の不正を摘発・防止することに成功し、また陸戦憲兵隊勤務時には奪還した惑星における治安維持作戦で奪還後わずか1週間で治安を回復するなどなど憲兵士官としては超一流であった。
また、陸戦士官としても勇猛果敢であるらしく大尉であったときには所属司令部が帝国軍特殊部隊によって攻撃されて、警備部隊が慌てふためく中自らトマホークを持って巧み
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