25部分:第四幕その三
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る。閂の落ちる音が部屋の中に響き渡る。
スカルピア 「(トスカの方を見て)私は約束を守った。これでいいな」
トスカ 「いえ」
だがまだ首を横に振る。
トスカ 「まだです。あの方と一緒にローマを発てるように旅券を頂きたいのです」
スカルピア 「旅券をか」
トスカ 「そうです。宜しいでしょうか」
スカルピア 「宜しい。では望みを適えさせてあげよう」
それに頷いて自分の机に行き立ったまま書きはじめる。トスカは長椅子のところにいたままである。スカルピアは暫くして手を止めてそのトスカに問うてくる。
スカルピア 「どの道を?」
トスカ 「一番近い道を」
スカルピア 「チヴィタヴェッキア?」
トスカ 「はい、その道を」
スカルピア 「わかった。ではそこを」
スカルピアが書いている間にトスカは食卓へ向かい気を落ち着かせる為に先程スカルピアが自分に差し出したワインを震える手で持つ。しかしここで食卓の上で銀色に輝くナイフを見る。これを見て何かに気付いた顔になる。
続いてスカルピアを見る。旅券を書くことに集中してトスカから目を離している。
それを見てすぐにナイフを取って自分の後ろに隠す。スカルピアはその間に旅券を書き終え印を押した後で丁寧に折り畳む。そうして食卓の方にいるトスカに一歩ずつ近付いていく。そのうえで彼女に対して言う。
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