第七話 偵察任務。その3
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なんでしょうか?」
「このまま応戦していても埒があかぬ。ビスマルクの奴も鳳翔もこちらに向かっているという連絡も入っていることゆえ、いったん艦隊を北東に転進させるのはどうじゃ?」
「あのあつい雲の下に入ればいいということですか?」
長良の指す方向には画家が急いで書きなぐったかのような白黒の雲が出現していた。急速に発達しているということはこの先嵐になるに違いない。
「高度からの敵の艦載機の爆撃は防げるかもしれませんが、低空で侵入された場合には対応できません。それに、こっちの対空射撃も雲に阻まれてできなくなりますし、視界も悪くなって敵艦隊の発見に気づかない場合もあります。」
「わかっておる。が、こうしていても不利になるばかりじゃ。今はビスマルク達との距離を縮めるほうが良いと思う。」
長良はしばらく考え込んでいたが、やがて強くうなずいた。
「はい!」
「よし。」
敵の艦載機から放たれる機銃と爆撃の雨の中を8人は海を全速力で走り、厚い雲の中に突入しようとした。
「右舷3時方向に敵艦隊!!」
深雪が叫んだ。
「なにっ!?」
利根が叫んだ瞬間、猛烈な射撃が艦隊を襲った。
「しまった!艦載機に足を取られているすきに、敵艦隊が・・・・っ!?」
利根が筑摩に倒れかかった。敵の砲弾の炸裂を食らったのだ。直撃ではなかったがそれでも負ったダメージは小さくはない。
「姉さん!?」
「だ、大丈夫じゃ。だが、下手を打ったな・・・・すまん。」
「何を言っているんですか!?」
利根は体を起こしながら、来襲してくる新手をにらんだ。
「戦艦2隻、重巡1隻、軽巡1隻、駆逐艦2隻か。空母に足止めをさせ、こちらにとどめを刺しに来たか・・・・。」
「応戦します!!暁さん、響さん!!」
長良が叫び、二人を促すと、激烈な砲火の中を飛び出していった。
「待て!!」
利根が叫んだが、3人は足を止めなかった。
「私も・・・・まだ、やれる!!」
「あたしだってやって見せる!!」
川内と深雪も続けざまに飛び出していった。
「無茶しおって・・・・無傷の新手とやりあえるだけの気力は残っておらんというのに。じゃが、吾輩も行くぞ!!」
「姉さん!」
筑摩が叫んだ。走り出そうとした利根がつんのめるようにして筑摩を振り返った。
「なんじゃ!?」
「後方からさらに別の敵艦隊が接近中!!先ほど撃破した艦隊の残存部隊と思われます!!」
「なんじゃと!?まだあれには撃ち漏らした戦艦が少なくとも1隻・・・・仕方がない、筑摩、おぬしまだ動けるか?」
「当り前です。」
「まずは全力を挙げてこの敵艦隊を叩く!!戦艦とまともにぶつかり合っていてもかなわぬ。おぬしと雷、電は大きく迂回して敵の後方に回り込み、死角から魚雷を打ち込め!!もはや雷撃戦でしか勝機はない。よいな!」
「はい
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