第七話 偵察任務。その2
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ん制!!そのすきにターンして全速撤退を――。」
そのとき敵艦隊に明らかな――喊声と表現するしかない――震動のようなものが走った。はっと川内が振り返ると彼方から猛然と走ってくる影がある。
「挟撃!?」
勝ち誇ったかのように敵艦隊が発砲を開始し、数隻の駆逐艦が前進してきた。川内は2隻をたたき沈めたが、残る1隻が猛然と突っ込んできた。体制が間に合わず、川内の顔から血の気が引いていく。
(そんな・・・・・)
「川内さん!!」
深雪の叫び声がしたその時だ。
「その艦もらったぁ!!」
大声と共に目の前の駆逐艦が轟沈し、次を進んでいく軽巡2隻も吹き飛んだ。後方の戦艦及び重巡洋艦にもおびただしい砲弾が命中した。
「今です!!川内さん、深雪ちゃん。早く!!」
長良が二人の前に飛び込むようにしながら敵に向けて砲撃を開始した。
「よし、川内、深雪、引くぞ!!」
利根が呆然としている二人を引っ張るようにして第6駆逐隊のもとに連れていった。
「頼む!」
また最後尾に取って返しながら利根が叫んだ。
「はい!」
4人はうなずいた。
「電、雷、ここは私と響で大丈夫だから、長良先輩たちの援護をして!」
「了解!」
「なのです!
二人は交戦中の長良たちの元に全速力で駆けつけ、戦闘に加わった。
「砲撃しながら、全艦後退します!!」
長良が叫び、駆けつけた電と雷とともにけん制の魚雷を放った。海面を進んだ魚雷は後方にいた戦艦1隻に命中して大破させ、重巡1隻を撃破したため、残存艦隊は慌てふためいたかのように戦列を乱した。二人を収容した呉鎮守府偵察部隊はすぐに戦場を離れた。
「全艦輪形陣形で川内さんと深雪ちゃんを中心に守りを固めましょう。」
長良の指示で偵察部隊は輪形陣形を取った。
「あ、ありがとうございます・・・・。」
「間に合ってよかったな。先に退避していた4人の事なら大丈夫じゃ。佐世保鎮守府から進発した護衛艦隊が4人を収容して全速力で帰投しつつある。」
利根は、ここに急行してくる途上、大破した白雪、長月を含む艦隊を発見したが、ほぼ同時に南下してきた佐世保鎮守府護衛艦隊と遭遇したことを話した。当初扶桑たちは自分たちが行くと言い張ったが、長良たちは救援には自分たちがいくと主張し、結局扶桑が折れた。それにはまだ敵の制海権を突破したわけではなく、帰路に敵の新手が出現するかもしれない事、それを突破するには強力な主砲と艦載機を有する佐世保鎮守府護衛艦隊の方が適していること。一方、川内たちを収容し、なおかつ全速力で敵艦隊を振り切るには高速艦隊の方が適していることなどを述べたためだ。
「そうですか!よかった!」
「じゃが・・・。」
利根は口をつぐんだ。
「ここからが正念場じゃ。先に退避していた4人は収容されたが、どうやら敵は空母部隊を展開しているようじ
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