第七話 偵察任務。その1
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トガラは前線基地の一つに過ぎなかったということじゃな。」
「佐世保鎮守府の偵察艦隊は、大丈夫なんですか!?」
暁がもどかしげに尋ねた。
「北方に待機している佐世保鎮守府護衛艦隊が間に合うかどうかじゃの。」
利根はそう言ったきり腕を組んだ。
「おそらく距離からして一番近いのは私たちです。でも・・・・。」
利根と筑摩が逡巡している意味は充分ほかの艦娘も理解していた。敵は戦艦である。同じ戦艦同士ならともかく、まともにその主砲弾をくらえば、航空巡洋艦や軽巡、駆逐艦なら一発で大破してしまう可能性が高かった。
「ですが、同じ仲間を見殺しには出来ないです。」
長良はきっぱりと言った。その途端偵察部隊の面々は先ほどあった川内をはじめとする艦娘たちのことを思いだした。大なり小なり癖のある面々だったが、どの艦娘もとても気さくでいい子たちだった。
「私たちも加勢に行きましょう。待機している護衛艦隊にも連絡して、急行してもらいましょう!」
長良の言葉に6人は一斉にうなずいた。
「まずいな。」
日向が顔を曇らせた。
「今利根から連絡があった。佐世保鎮守府の偵察部隊が敵艦隊に発見され、交戦中とのことだ。長良たちは救援に向かった。こちらにも掩護の要請が来ている。」
「あの子たち!!」
鳳翔が一瞬顔をしかめたが、すぐにうなずいた。
「行きましょう。すぐに急行しないと、間に合いません!!」
4人はうなずき合い、すぐに水面をけって全速力で走り始めた。ほどなくして日向が再び報告してきた。
「・・・ビスマルクたちからも連絡があった。救援要請を聞きつけて戦闘海域に向かっているとのことだ。そしておそらく佐世保鎮守府護衛艦隊も向かっているだろう。だが・・・・。」
日向は3人を見た。
「南西諸島本島北方だと思われる戦闘区域には3艦隊いずれも遠い。ここからは少なくとも1時間はかかるとみていいだろう。発見されるのが早すぎたな。」
「それまで、皆が持ちこたえられるかどうかね・・・・。くそっ。」
足柄が歯を食いしばった。その前で冷静に考えていた鳳翔が紀伊を振り返った。
「紀伊さん!」
「はい!」
「艦載機を先発して出撃させましょう。私たちの速度では間に合いません。」
「わかりました。それから一つ提案があります。」
「なんですか?」
「艦載機を戦場に急行させるのはもちろんですが、この上空にも直掩機と偵察機を放って警戒に当たらせたいと思います。」
「なぜだ?」
「わかりません・・・。」
紀伊は周りを見まわした。あたりは穏やかな青空だった。多少波は高かったが、それ以外はいつもの海。だが、紀伊はその水平線の彼方から何かどす黒いものが広がり、自分たちを覆いつくそうとする感覚に囚われ始めていた。
「でも、なんとなく嫌な予感がするんです・・・・・。」
「
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