第七話 偵察任務。その1
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?」
「頑張って、と言ったが。」
響は無表情に三人を見た。
「なんか知らない国の言葉が聞こえたんだけれど?気のせい?」
雷が暁を見た。
「私も聞こえたわよ。」
「私もなのです。」
「おかしいな。」
響は首をかしげる。本人は日本語を言ったつもりだったらしい。
「こら、4人ともまだ任務は終わったわけじゃないのじゃぞ!」
利根が注意した。
「あ、はい!」
慌てた4人がそれぞれの位置に着いたとき、長良が上を見上げた。
「いったんあの雲の下に退避しませんか?ここだと敵の偵察機が来たらすぐに発見されちゃいます。」
「そうですね、なんだか少し不安です。何もないところにいるのはどうも落ち着きません。」
確かに、ここは敵の制海権の中だった。こちらが偵察機を飛ばすのと同様、いやそれ以上に敵も哨戒網を形成しているとみていいだろう。何もしないで一点にとどまっていればそれだけ発見されやすくなる。特に、この一帯には身を寄せられる環礁や岩礁などもなかったから尚更だ。
「そうじゃの。よし、行くか。」
第6駆逐隊の4人もうなずき、艦隊はやや北東にある分厚いどんよりとした雲を目指して走った。そのとき、筑摩が耳をそばだてた。
「偵察機から入電。オオスミ地区には敵影なし。」
「こっちもきたぞ。アマミ地区にも敵影なし。港湾などの施設らしきものもなし。おかしいの?」
「となると、南西諸島の西方を担当する佐世保鎮守府の方に・・・いいえ待ってください!!」
筑摩がはっと顔を上げた。
「・・・・・敵艦隊ミユ。南西諸島東北トガラ泊地ニ空母3、戦艦4、重巡5、軽巡及び駆逐艦多数ヲ確認ス!!」
「やった!!」
暁が叫んだ。だが筑摩の顔色はずっと引き締まってきた。
「まだです・・・・別敵艦隊ヲ認ム。南西方面ヨリ北東上シツツアリ。陣容空母2、戦艦2、重巡1、軽巡1、駆逐艦4。」
「発見されたのか!?」
「いいえ姉さん。偵察機の報告では敵艦隊の速度は13ノット。戦闘速度ではありません。平常時よりもむしろ遅いくらいです。おそらく規模からして大規模な威力偵察あるいは通商破壊に乗り出すところでしょう。」
「なるほどの。長良、どうする?」
「敵の根拠地は突き止めました。撤退しましょう!」
「おう。」
艦隊は陣形を組みなおすと、長良を先頭に全速力で撤退を開始した。だが、利根が顔色を変えた。
「まずいぞ!!」
「どうしましたか?」
皆の足が止まった。利根がいつにない真剣な顔で耳を傾け続けている。何か電波をとらえたらしかった。
「偵察機からの報告じゃ。佐世保鎮守府の偵察部隊が敵艦隊に発見され、交戦中じゃ!」
「ええっ!?」
雷が声を上げた。
「敵の陣容は戦艦3隻を中心とした水上部隊じゃ。まずかったの。敵の根拠地はどうやらトガラだけではなかったようじゃ。しかも
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