23部分:第四幕その一
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下にある橋の袂に。何時でも」
スカルピア 「そうか、わかった」
納得したように頷く。
スポレッタ 「それで伯爵の方は」
スカルピア 「(平然として)構わぬ。後でどうとでも言い繕える。それに弟が政治犯ならば幾ら何でも表立って言えまい」
スポレッタ 「それでは」
スカルピア 「気にすることはない。それよりあの女はどうした」
スポレッタ 「御命令の通り別室に入れてあります。ですがここが何処なのかはよく知らないようです」
スカルピア 「そうか。それはそれで好都合だな」
ここでワインを一杯飲む。
スカルピア 「では今からここへ連れて来い。いいな」
スポレッタ 「わかりました」
一礼してから退室する。そうしてトスカを部屋に連れて来る。ここでスカルピアは食事を止めてあえて親しげにトスカに対して言ってきた。
スカルピア 「ようこそ、サン=タンジェロ城へ」
トスカ 「サン=タンジェロ城・・・・・・」
その城の名に血の気を失う。
トスカ 「ここが・・・・・・」
スカルピア 「まあ驚かれずに」
また親しげな仮面で言う。
スカルピア 「ゆっくりとお話しましょう。ワインを」
ここで従僕に声をかける。彼はすぐに杯を出す。
それを受けるとスカルピアは指を鳴らした。するとそれを合図に部屋にいた者は皆退室する。後にはスカルピアとトスカだけとなる。
スカルピアは自分の手でワインを注ぎ込む。そうしてトスカに勧める。
スカルピア 「シチリア産です」
トスカ 「(項垂れた様子で)折角ですが」
スカルピア 「おや、結構ですか」
トスカ 「はい、今は」
スカルピア 「言っておきますが私は酒には何も入れておりませんよ。我々シチリアの男はその様な手は使わない。縛り首か鉛の弾かそれだけです。とりわけジャコビーニに対してはね」
トスカ 「ジャコビーニ!?」
スカルピア 「はい。宜しければ窓を御覧になれば」
トスカ 「窓に!?一体何が」
スカルピア 「何、大したものではありません」
うっすらと笑って述べる。
スカルピア 「絞首台を二つ用意したのですよ」
トスカ 「絞首台!?まさか」
スカルピア 「一つはこれから来る男の為に、もう一つは今この城にいる男の為に」
トスカ 「(それを聞いて感情を昂ぶらせて)そんな、それじゃあ」
スカルピア 「そう、貴女の愛する子爵の為のものだ。おわかりかな」
態度が徐々に強欲で剥き出しになっていく。その声で語っていく。
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