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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第53話:命短し恋せよ乙女。淡き色した桜の如く。
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れば、これ程自意識過剰でイタイ発言はないだろう。
「……………そ、そうですよね。ウルフさんは格好いいしエリートだし、こんな田舎娘には興味もありませんよね(泣)」
ヤバい、泣かれた!
台所で立ち竦む彼女の両目からは、大粒の涙がボロボロ溢れ落ちる。
何だこれ!? 飯を集っといて、ご馳走してくれた彼女を傷付けるって……
俺は慌てて立ち上がり彼女の側に近付く。
そして立ち呆けてるピクトルさんの両肩をしっかり掴み、瞳を見据えて話しかける。
「誤解しないでピクトルさん。貴女は可愛いし、料理も美味いし、最高の女性だよ。俺も君を彼女に出来るのなら、どんなに嬉しいか。でも俺には既に付き合ってる女性が居るんだ」
彼女の部屋で、彼女を泣かすって……俺は何をやってるんだ?
「そ、そうですよね……私みたいな田舎娘よりもステキな女性と付き合ってるんですよね」
そう言うと彼女の目からは、有り得ないほどの涙が滝の様に溢れ出る。
イヤイヤイヤ、何で自分を卑下するんですか!? 違うんですよぉ!
「そうじゃないんですよ。貴女は素晴らしい女性ですけど、俺の付き合ってる女性ってのは姫でして……しかも2人も居るんです。どっちも父親は同じ」
「え、2人と付き合ってるんですか!? 二股ですか……姫様と?」
「まぁ二股なんでしょうけど、互いに知ってますし、この状態で納得してるんです。先に付き合ってた方が嫉妬深いんで、納得させるのには苦労しましてけど……」
あれ……そう言えば、何で俺はマリーと何時までも付き合ってるんだ? あんな面倒な女なのに……
別にグランバニア王家に入りたい訳じゃないし、この気にピクトルさんに乗り換えるって手もあるよなぁ……
いやダメだ。マリーは兎も角、リューノは素直で可愛いから手放したくない。
何という男の身勝手な理由だろうか。
身勝手な理由で言うと、マリーの身体は手放すのが惜しい。
それに性格はアレだけども、可愛い所もあるし……何よりも彼女に惚れて俺はこの世界にまで来たのだから、分かれる訳にはいかないか。
あれこれ考えてるとピクトルさんが俺の胸に顔を埋めてきた。
え、何? 如何いう事これ?
何で俺はピクトルさんを抱き締める形になってるの?
「私もその中に入れて下さい。本命じゃなくて良いです……二股してるのなら、もう一股くらい構わなくないですか?」
「いや、拙いよ……付き合ってる姫の一人が、異常なほどに嫉妬深いから知られたら大惨事になるよ」
俺は彼女を引き離すと顔を覗き込んで訴える。
「じゃぁ秘密のお付き合いでも良いです! 私、もう我慢出来ません。ウルフさんの事が好きなんです!!」
そこまで言うと、彼女は俺の首に両腕を回してキスをしてきた。
ど、どうしよう……如何すれば良いのだろう?
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