22部分:第三幕その八
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
スカルピア 「何だ、騒々しい」
警官をジロリと見て言う。
スカルピア 「何かあったのか?」
警官 「総監、一大事です」
スカルピア 「王妃からの御命令か?」
敬礼をして述べる警官に対して問う。
警官 「いえ、マレンゴのことです」
スカルピア 「勝ったではないか」
警官 「いえ、敗戦です」
スカルピア 「(話の意味がまだよくわかってはいない)あの小男がだな」
警官 「いえ、我が軍がです」
スカルピア 「何っ!?」
この言葉には流石に色を失う。
スカルピア 「それはまことか」
警官 「はい、まことです」
警官も強張った顔で述べる。
警官 「我が軍はこれきょり停戦協議に入ります。ですがそこでも」
カヴァラドゥッシ「やったぞ!」
その報告に飛び上がらんばかりに喜びの声をあげる。
カヴァラドゥッシ「勝利だ。自由の旗がこのローマに再び立てられる日が来たのだ」
スカルピア 「くっ・・・・・・」
カヴァラドゥッシの喜びに対して悔しさで顔を顰めさせる。カヴァラドゥッシはそんな彼に対してさらに言葉を続けてくる。
カヴァラドゥッシ「苦しみの後に喜びは訪れる。これでアンジェロッティも助かる。総監、貴女も王妃に睨まれぬうちにシチリアに帰るのだな」
スカルピア 「うう・・・・・・」
懐に手を入れようとする。だがそんな彼にカヴァラドゥッシはまた言う。
カヴァラドゥッシ「撃つのか?シチリアでは男は決闘以外で相手に武器を向けないのではなかったのか。それともそれすら忘れてしまったというのか」
スカルピア 「わかりました」
何とか心を抑えて言う。
スカルピア 「その続きは場所を変えて御聞きしましょうか。絞首台でね」
トスカ 「(顔を青くさせて)えっ、そんな」
カヴァラドゥッシ「望むところだ」
驚くトスカ。しかしカヴァラドゥッシは傲然とさえしている。
カヴァラドゥッシ「そこで貴方達の最後を見届けるとしよう」
スカルピア 「連れて行け」
その声に従い警官達がカヴァラドゥッシに近寄る。しかし彼は腕を掴ませない。
カヴァラドゥッシ「安心してくれ、逃げたりはしないさ」
スカルピア 「貴女もだ」
トスカも連れて行く。有無を言わさぬ態度でそのまま二人を連れて行く。
後には何の気配もない部屋だけがある。静寂が全てを支配している。
窓が開く音がし風が入る。それが蝋燭の炎を消し去る。
何台かの馬車が遠ざかる音がする。ここで詠唱。その中で幕。
裁きを下す方が席に着かれる時
隠されていた事柄は全て露わとなり
誰もがその報いを避けられぬ
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ