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Three Roses
第三話 幸福と孤独その六

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「ですから」
「そうなのだな」
「側室は必要です」
「子を設ける為にな」
「子がない王家なぞ何の意味がありましょう」
 それこそというのだ。
「一代限りの王家なぞ」
「それは何でもないな」
「王家は続いてこそです」
「そうだな、そして王家が続けば」
「国として成り立ちます」
「王は国の柱だ」
 それに他ならないとだ、王は王の立場から言った。
「そしてその柱が確かでなければな」
「玉座が空いていれば」
「それを巡っての諸侯の争いとなる」
「そこに周辺の国々も付け込みます」
「そして災厄を被るのは」
「国と民です」
 彼等がというのだ。
「ですから何としてもです」
「王は必要だな」
「そしてその血筋は」
「その通りだな、だからな」
「お子は必要ですので」
「側室もまた必要だ」
「左様です、王にとっては」
 そして王が側室を持っているので貴族や富裕な者達も持っているのだ、中には複数の側室を持っている者もいる。
「ですから」
「そなたにはいないがな」
「どうも女色はです」
「一人で充分か」
「あまり、なので」
 無論大公とて女は嫌いではない、だが側室まではというのだ。
「そうした者なので」
「だからだな」
「はい、しかし王はです」
「側室を持ってでも子ももうけるのは務めだな」
「ですから」
「だからマイラももうけた、しかしだ」
「その側室の子であることが」
「あの娘を苦しめているのか」
「左様です」
「マイラの扱いは分け隔てしているかというと」
 王は自問自答する様にして述べた。
「やはりあるが」
「王位継承権としても」
「五位にしたが」
「それでもですね」
「あの娘もまた私の娘だ」
 紛れもないことだというのだ、このことは。
「だからマリー達と共にもな」
「遊ばれるべきですね」
「そう思う、あのままでは」
 王は暗い顔になり大公に述べた。
「よくはない」
「左様ですね」
「あの娘はより明るくなるべきだ」
「そしてマリー様やマリアとも」
「セーラともな」
 三人と、というのだ。ここでも。
「共に遊ぶべきだ」
「遊びからも様々なことを知られるべきですね」
「そう思うのだが」
「ですが学問と信仰だけです」
「修道院ではないのだ」
 徹底した禁欲を貫くこの場所とは、というのだ。
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