第百十話
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を頼むと、そういった内容のことが書かれていて。
「そっか……セブンも初めて友達になったの、ルクスなんだね……」
感慨深げにユウキが呟いたことで、最初にセブンと仲良くなっていたのはルクスだったな、と思いだす。元々がセブン――七色のファンということもあったが、この前のライブのチケットも、セブンはルクスにだけは直接渡すと息巻いていた。
「ルクスってば、まったく幸せ者じゃない。……手早く、連れ戻してきましょうか」
「はい! ……って言いたいところですけど、他の皆さんも声をかけた方が……」
「いや、そしたら多分サラマンダー領軍が先に到着する。行くなら今、このメンバーでだ」
セブンから託された情報をもとに、リズは気合い充分とばかりに準備に入る。戦力に不安を覚えたシリカの言った通りに、ここにはいないキリトやアスナ、スリーピング・ナイツの面々にも協力を求めたいところではあるが、あいにく全員集合を悠長に待っている暇はない。サラマンダー領軍の戦力に比例しないフットワークの軽さに、最も詳しいリーファがコクリと頷いた。
「うん。私も行くなら今しかないと思う」
「大丈夫だっての。こっちには天下無敵の《絶剣》様がいるんだぜ?」
「ちょっ……!」
「……《絶剣》?」
クラインが発した聞き慣れない言葉に問い返すと、途端にユウキが物陰に隠れだした。それをすかさずクラインが捕まえると、ユウキの首根っこを掴んで俺の前に置いてきた。そしてジャジャーンという効果音を口で出しながら、妙に仰々しく拝んでみせる。
「最近、スリーピング・ナイツの連中とアスナが連携の練習で狩り行ってたろ? そこで《MMOトゥディ》の連中に会って、ユウキにそんなあだ名つけられたんだってよ」
「やめてよクライン! 恥ずかしいし……」
凄い強い奴って意味合いらしい――とクラインの言葉は続いたが、当のユウキは頬を紅潮させながら、クラインの捕縛を振りほどいて一目散に逃げていく。
「今度記事になるらしいぜ?」
「えぇっ!?」
「それは楽しみだな」
「どんな記事になるんでしょうねー」
他人事だと思って無責任なことをのんきに言ってのけるメンバーに反して、ユウキはクラインへ《MMOトゥディ》を記事にするプレイヤーの名前を、慌てながらも問いただしていた。直接会って、記事にするのを止めてもらうつもりなのだろうが、クラインはフラフラとユウキからの追求を避けていた。
「それじゃあ、みんなでユウキ主役の記事見るために――ルクス、ぶん殴ってでも連れ戻すわよ!」
そしてリズの力強い号令とともに、俺たちはリズベット武具店出張所の扉を開く。そこにもはや、集まった時と同様な陰気な空気はない――
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