第百十話
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ルクスがいないことを確認すると、顔を言いにくそうにしかめさせた。
「どうした?」
「あー……さっきそこのフィールドでよ。例のPK集団――のパチモンどもが、ケットシーの領軍を襲ったんだよ」
例のPK集団――十中八九、グウェンたちのことであろう。今は浮遊城の攻略のために、各種族の領主たちも最前線に出てはいる。確かに倒せれば見返りは多いものの、かなりの戦力を誇る領軍相手には、俺たちだろうと返り討ちに遭うしか道はない。
「パチモン……って?」
「どうやら下っ端を大量に溜め込んだらしくてよ。オメェらが戦ったオレンジプレイヤーじゃなく、PKにハマった中級者の連中だな、ありゃ」
俺やリズが直接戦った元オレンジプレイヤーたちではなく、このALOで仲間になったプレイヤーたち。プレイヤーキラーに興味が出て来た中級者プレイヤー、とでも称すべきか――もちろんそんな連中に、ケットシーの領軍がダンジョン探索中とはいえ負ける訳はなく、聞くまでもなく返り討ちにしただろうが。
「それより問題なのはよ……そのPK集団のリーダー、ルクスだって話が広がってんだよ」
「は!?」
困ったような表情を隠さないクラインから、訥々と衝撃的な話が語られる。問題はグウェンたちの勢力が拡大したことではなく、ルクスがPK集団のリーダーになったという――その情報。
「ルクスって名前が出た訳じゃねぇが……特徴がな。んで、サラマンダーの連中がそのPK集団を壊滅させる、って息巻いてんだが……」
「そんなことしたら、ルクスさんがリーダーってことのまま、サラマンダーにやられちゃうじゃないですか!」
シリカの声に一同がざわめいた。種族領の中でも屈指の武道派であるサラマンダーならば、数の違いもあってPK集団を壊滅させることは、そう難しくはないだろう。ただしその場にルクスが――出回ったリーダーの情報通りのプレイヤーがいれば、ルクスはリーダーとして処罰されるだろう。ともなれば、俺たちと一緒に遊んでいられる状況ではなくなる。
「そ、それって……マズくない? 相手がサラマンダーじゃ……」
「ああ。しかも似てんだよなぁ……キリトとかに聞いた、SAOの序盤の状況によ」
「あたしも、アスナから聞いたことあるけど……確かに」
あの浮遊城の攻略に序盤から参加していた、キリトたちはここにはいなかったが、俺たちも話だけは聞き及んでいた。二大ギルドが主導して攻略していた序盤に、どちらのギルドも妨害して仲違いさせようとしていた、そんな連中が――《笑う棺桶》の前身とも言える連中がいたと。……その状況と今の状況が似ていて、どこか怪しさを感じさせていた。
「領軍の中にも、シャムロックの連中が裏で手を引いてる、なんて言う奴らもいたしよ。……笑い話じゃね
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