第百十話
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。そういう意味もあって大切な友人なのか、ユウキが自身のスカートを力いっぱい握り締める。それはどこか、ぶつけようのない怒りを抑えているようで。
「ユウキ……」
「ボクはただ、楽しくゲームがやりたいのに……あ……ごめ――」
先日のセブンとレインの件もあってか、ユウキの口から恐らく無意識に弱音が吐かれた。すぐさま謝罪しようとしたユウキだったが、その声に茶化したような拍手が交じった。もちろん、そんなことをするようなメンバーが、このリズベット武具店にいるわけがなく。
「――私もそう思うわ。小さいインプちゃん?」
まばらな拍手が止んで放たれた言葉は、ユウキが入ってきたドアに寄りかかっていた少女から。そのツインテールをなびかせながら、緑色を基調とした和装を着こなすシルフの姿。
「ゲームは楽しくなくちゃ。ええ、楽しいのが一番よ」
「あんた!」
店内のカウンターに座っていたリズが、彼女の姿を見て怒りの感情のままに立ち上がる。実際に姿を見ていなかったシリカにリーファも、リズのそのリアクションで彼女の正体を察する――件のPK集団のリーダー、グウェンだった。
「こんにちは。この世界は便利でいいわね、PKしてもオレンジにならないし」
おかげで、こうして町にも入れるんですもの――などと笑いながら、グウェンはスカートの裾を掴みながら挨拶して。そんなグウェンに対して、止める間もなくリズが掴みかかろうとするものの、町中のためにプレイヤーへの障壁に阻まれた。
「あら。ここは《圏内》でしょう?」
「……このゲームじゃ《圏内》って言わないのよ」
「……何しに来たの!」
クスクスと笑うグウェンを睨みつけるリズ、そして臨戦態勢となったユウキの糾弾が飛ぶ。とはいえグウェンの言った通り、SAOで言うところの《圏内》である街中では、俺たちはグウェンに何をすることも出来ない。
「何って、お礼をいいに来たのよ? 私がいない間だけ、ルクスの友達になってくれてありがとう、ってね」
「あんたにお礼を言われる筋合いはないわ。あんたがいようがいまいが、ルクスとは友達よ」
「へぇ。友達っていうのは、あの子の過去も何も知らないで、今は会うことも出来ない関係を言うのかしら」
今にも殴りかかろうとする威圧感を持ったリズを、ニタリとした笑い方という言葉が相応しい笑顔で見下しながら、グウェンはリズの首筋に手を当てる。リズは瞬間的にその手を払いのけるが、その手は既に引かれていた。
「私はルクスのことなら何でも知ってる。だから、あの子はもう私たちと一緒にいるわ」
「えっ……?」
「聞こえなかった? ルクスは私たちと一緒にいる、って言ってるのよ」
とても信じられない様子で聞き返したリーファの疑
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