第百十話
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ちるよ」
二人の再会が穏やかになるはずもなく、神経をすり減らしたルクスがそう語り終えたところで、その日は解散となった。実際に人を殺めてはいないとはいえ、あの《笑う棺桶》に思うところがない訳ではない俺たちは、ルクスに誰も何も言うことが出来ずに。
――ルクスは、俺たちの前から姿を消した。
「ルクスさん……学校にも来ませんでしたね……」
リズベット武具店出張所。先日のライブに居合わせなかったメンバーにも、ルクスの話は広まっており、SAO帰還者学校にも来なかったルクスに、シリカがどうしようもなくため息をついた。
「メールも返答ないし……」
「……そもそもログインしてないみたいだしねぇ」
リーファにリズも店内に居合わせていたが、どうにもこうにも空気は重い。普段なら、エギルの店のメニューを総ナメでもするか、どこかクエストにでも行っているところだったが、流石にそんな気分にはなれなかった。
「ルクスが連絡を取りたがってないんだ、あっちから話してくれるまでは……仕方ないだろ」
「それは……分かってます、けど」
かく言う俺も手持ちぶさたで武器の手入れなどしていたが、やはりどうにもこうにも集中出来ずに。武器をストレージにしまい込みながらシリカをたしなめたが、どうにも納得できないような表情を隠さない。傍らに控えるピナもどことなく元気がなく、机の上にその翼を丸めている。
「……ルクス、いる?」
店内にそんなやるせない雰囲気が漂っている中、遠慮がちに出張所の扉が開いた。その小柄な闇妖精――ユウキから問われた質問に、首を横に振ることで答える。彼女も薄々いないことは分かっていたのだろうが、目に見えて気落ちしながらも、店内に入って近くの席に着く。
「もしかしたら、って思ってたけど、みんな本当にあのゲームの人たちだったんだね」
「わ、私は違うけど……」
「……隠してて悪かった」
ルクスの元《笑う棺桶》の話に関連して、スリーピング・ナイツの面々にも、SAO生還者だということは知れた。薄々は感づいていただろうし、特に隠していた訳ではなかったけれど。少しバツが悪くてリーファの訂正とともに、小さく頭を下げて謝罪する。
「う、ううん。ボクが逆の立場だったら……その、言わないだろうし。気にすることないよ」
逆の立場――というところで少し言いよどみながらも、ユウキは特に気にしていないように語る。その表情には微笑みが浮かんでいたものの、すぐにかき消えてしまう。
「ルクスが心配。ルクスがいなかったら、ボクたち、こうして一緒に話してないんだもん」
ルクスがおらず、あの水着コンテストに行っていなければ、確かにこうしてユウキ――スリーピング・ナイツと知り合うことはなかっただろう
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