17部分:第三幕その三
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また出て来る。
スカルピア 「実は侯爵がこちらに奥方がおられるのではないかと仰いましたので」
カヴァラドゥッシ「そして訪ねて来られたのですか。残念ですがご夫人はこちらにはおられません。疑われるのならここにいるフローリアに聞いて下さい。彼女もそれを確かめにこの家へ来たのですから」
トスカもその言葉に頷く。
トスカ 「はい、間違いありません」
侯爵 「(二人の言葉を聞いてスカルピアに顔を向けて言う」でしょう?先程から申し上げているように私はカヴァラドゥッシ子爵を若い頃より存じ上げているのです。この方はそんなことをする筈が無いと申し上げているではないですか」
スカルピア 「ですが子爵」
カヴァラドゥッシ「はい」
スカルピア 「貴方が仕事をしておられる教会に侯爵夫人の扇が落ちていました。これは何故ですかな」
カヴァラドゥッシ「あの方は何回か教会に来ておられました。その時に落としたのでしょう」
平然とそう述べる。
カヴァラドゥッシ「あの方が教会に来られていたという証拠は私が今あの教会で描いているマグダラのマリアの絵です。僭越ながらモデルに使わせて頂きました」
侯爵 「そうですよね、ほら」
スカルピアの方に顔を向けて言う。
侯爵 「そうじゃないですか。この方はそのような方ではありません」
スカルピア 「成程。しかしですね」
侯爵 「しかし?」
スカルピア 「子爵、貴方があの教会で仕事をしておられる教会に侯爵夫人の扇が落ちていたのですよ。これは一体どういうことでしょうか」
カヴァラドゥッシ「あの方は何回か教会に来られていたのでその時に落としたのでしょう。あの方がコラレタという証拠もちゃんとありますよ」
スカルピア 「それは一体?」
カヴァラドゥッシ「あのマグダラのマリアの絵です。モデルに使わせて頂きました」
スカルピア 「ふむ、そういうことですか」
侯爵 「ほら、これで話の辻褄が合うではありませんか」
カヴァラドゥッシ「それでも侯爵夫人がここにいると疑われるならば」
自信に満ち、挑発すらして言う。
カヴァラドゥッシ「好きなだけ探して頂いてもいいですが」
スカルピア 「宜しいのですね」
カヴァラドゥッシ「ええ、どうぞ」
スカルピア 「わかりました。それでは」
彼は後ろに控えるスポレッタとコロメッティに目配せをする。数人の警官がそれに続いて捜査をはじめる。忽ち屋敷の中が再び騒がしくなる。
侯爵がその中で言う。
侯爵 「私はもう用がないようですが」
スカルピア 「そうですな。それではお帰りになって下さって結構です」
侯爵 「(スカルピアのその言葉に胸を撫で下ろし)それでは」
スカルピア
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