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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十八話 謀多ければ……
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大規模出兵に帝国は一致して戦わねばならないと言う事もあるが、本心では俺たちと関係改善を図りたいのではないかと思っている。悪い事ではない。そのほうが有りがたい。

「シュタインホフ元帥、お願いがあるのですが」
「また情報部を使うのか?」
「いえ、今回は統帥本部にお願いがあります」

俺の言葉にシュタインホフ元帥は不思議そうな顔をした。
「統帥本部? 何を考えている」
「フェザーン回廊を使った反乱軍勢力圏への侵攻作戦を作成して欲しいのです」

俺の言葉に老人三人が目を剥く。
「本気で考えておるのか、フェザーン侵攻を?」
そう、俺は本気で考えている。フェザーンを併合して同盟に攻め入る事を。

「イゼルローン要塞を落とすのは難しいでしょう。落とすのに何年もかかるようでは反乱軍は戦力を回復します。今回の戦いで反乱軍に大打撃を与える事が出来た場合、フェザーンを占領しフェザーン回廊を使うべきだと思います」

俺の言葉にリヒテンラーデ侯、エーレンベルク、シュタインホフ両元帥が顔を見合わせた。様子を見ながらといった感じでエーレンベルク元帥が口を開く。

「確かに、卿の言う通りではあるが」
「……」

「エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥、ここは司令長官の言うとおり、イゼルローン要塞にこだわるよりフェザーンを併合した上で反乱軍勢力圏に攻め込んだ方が帝国にとっては利が大きいと思うが」

リヒテンラーデ侯の意見に軍務尚書と統帥本部総長が顔を見合わせ頷いた。
「確かにそうですな」
「同意します」

これでフェザーン方面からの同盟への侵攻が決定した。
「この戦いに勝った後、機を見てフェザーンを占領し反乱軍勢力圏へ攻め込む、その際問題になるのがフェザーン方面の航路です」

「なるほど、我々はイゼルローン方面からしか侵攻した事がない。フェザーン方面は何も分らぬか……」
シュタインホフ元帥が眉を寄せて呟いた。隣でエーレンベルク元帥も渋い表情で頷いている。

「はい、航路もありますが、軍事上の観点から見た星域情報がありません。反乱軍が主戦場に選ぶのは何処か、大軍を持って決戦し易い場所、し難い場所などです」
俺の言葉にエーレンベルク、シュタインホフ両元帥の表情が更に渋くなる。

「分った、取り掛かろう。だが少し時間がかかるぞ」
「構いません。フェザーン侵攻は早くても二年から三年後になるでしょう。時間は有ります」

俺はシュタインホフ元帥の問いに答えた。原作では来年リップシュタット戦役が起き、フェザーン侵攻は再来年になる。この世界がどうなるか分らないが、順番にそれほど大きなずれは無いだろう。問題はフリードリヒ四世の寿命だ。

「その間、フェザーンに知られるわけにはいかんな」
「いいえ、フェザーンにそれとなく情報
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