第27話 問題だらけの英霊召喚
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り、この地下空間を余すことなく響かせていくような程よく通る声だ。
そして否応でも判るのは、人の上に立つことが約束されているかのような存在感も感じさせられたものだった。
その少年の存在感に少し圧倒されるも、士郎は応え返す。
「・・・ああ。俺が君のマスターだ」
(余・・・と言う事は王族か・・・・・・・・・ん?)
何故だか少年は難しい顔をしていた。
「如何したんだ?もしかして俺がマスターだと不服だったか?」
士郎の疑問に、当人を気に入っているスカサハ以外の4人はムッとする。
だが少年姿の英霊は、難しい顔のまま否定する。
「いや、そうでは無い。このまま契約を完了させていいモノかと迷っていてな・・・」
「何か不備でもあるのか?」
「うむ。それがな・・・・・・余と言う言葉を自然に出したからには、余は人の上に立ちし者だと言う事位は予想出来るのだが如何ともな・・・」
「?」
『??』
何とも歯切れの悪い事を言う少年英霊。
士郎は業を煮やしたわけではないが、言ってみてくれと促す。
「むぅ・・・・・・実はな。――――余は、余自身の真名を全く思い出せんのだ」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?』
少年英霊のまさかの言葉に、スカサハすらも含めて信じられないような顔をする。
そんな一同の顔を見渡して溜息をつく。
「信じられない、信じたくないのは余も同じだ。しかし事実なのだから仕方がない。それに大変すまないが、もう一つ言わなけれなならない事がある」
「もう一つ?」
「これこそ真に信じがたい事だろうが、自分の真名が思い出せないから必然的に宝具も使えんのだ」
『なっにぃいいいいい!!?』
『・・・・・・』
藤村組の4人が驚愕する中、スカサハと士郎は自分の真名を思い出せないと言う少年英霊の言葉を聞いた時に予測できていたので、驚いてはいなかった。
その面々に申し訳なさそうにする少年英霊は、ハッとある事に気付く。
「そう言えば、マスター・・・・・・いや、契約完了していないからマスターと呼んでいいのか怪しいな。――――兎も角、お主は余の縁がある聖遺物を用意しているのだから、当然余の真名を知っているのだろう!!」
単純ではあるが名案を思いついたと言わんばかりの勢いだ・・・・・・が。
「すまない」
「ん?」
「何の聖遺物か判らないまま召喚に臨んだから、君の真名について全く身に覚えがないんだ」
「なんと・・・」
真名を思い出せ少年の英霊と、召喚される英霊が分からないまま分の悪い賭けに走った異世界の魔術使い。
お互いの間に気まずい空気が流れる。
その後ろでは
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