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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十六話 やり直し
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」
「……」
それは偶然にも、雪鳴が俺に言ったお願いと全く同じだった。
姉妹だからこその必然なのか、それともただの偶然なのか。
……いや、そんなことはどうでもいい。
「ああ。 今度は全部話すし、これからはずっと一緒だ」
「……うん、うん!」
俺の言葉に柚那は涙をこぼし、しかし喜びに満ちた笑みで俺に抱きついた。
抱きしめ返すと、腕の中に収まった柚那の身体の温もりが伝わってくる。
そして五年前の幸せな時間が呼び起こされて、止まっていた時計が動き出した……そんな気がした。
抱きしめ返し、右手で頭を撫でると、柚那ははにかみながら上目遣いでこちらを見つめる。
「お兄ちゃん、大好き」
「っ……俺も、大好きだ」
突然の告白に動揺するも、それが家族の好きだと理解した俺は同じ意味の言葉で返した。
五年が経過して、しっかりものの女の子になったとばかり思っていたけど、この時の姿は五年前のころと全く変わらず可愛らしくて、愛らしかった。
「ずるい」
「へ……うおっ!?」
「わっ!?」
背後から聞こえた低く冷たい声に驚くと、同時に横から俺と柚那を纏めて抱きしめる細い腕が伸びた。
「せ、雪鳴!?」
「お姉ちゃん!?」
「二人とも、私のこと忘れてた」
「「そ、そんなこと……」」
「……」
「「ごめんなさい」」
俺と柚那は奇跡的なハモりをしながら謝罪すると、雪鳴はふっと笑みをこぼして抱きしめる腕に力を込める。
二人分だから腰までしか伸びていない腕だけど、俺たち三人の温もりが分かち合えている実感を感じるには十分だった。
「やっと、元通りだね」
雪鳴の一言に、俺と柚那は満面の笑みで頷く。
それは子供の頃の戻ったような、屈託のないもので――――、
「お兄ちゃん、カレーを作ったんだけど大丈夫?」
「大好物だ。 柚那の手料理、楽しみにしてるよ」
「絶対美味しい」
「なんでお姉ちゃんが誇らしげなの?」
「雪鳴のお墨付きなら、尚更期待できそうだな」
「お兄ちゃんまで……。 も、もぉ〜ハードル上げないでよ!」
「……ふふ」
「はははっ」
「わ、笑わないでよぉ〜!」
こうして三人でふざけあって、笑い合える日々を過ごして俺は誓った。
この幸せな時間を、今度こそ俺は守り抜いてみせると。
そう思って、そう誓ってふと今も眠りにつく姉さんのことが脳裏をよぎった。
まだ姉さんは五年前から時が止めっていて、今の俺がどういう日々を過ごしているか知らないだろう。
だけどもし今、この光景を見ていたら姉さんならこういうのだろう。
――
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