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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十六話 やり直し
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「……そういうことで、いいのか?」
俺は柚那に視線を向け、返答を求めた。
まだ、俺の中で柚那との問題は解決していない。
そんな状態であの頃のような、まるで家族のように過ごしていた日々を戻していいのだろうかと不安になった。
「……うん」
柚那は小さな声で、しかし確かに頷いて答えた。
しかし気まずいのか、気恥ずかしいのか、視線は俺から逸らされているけれど。
「そうか」
俺にはそれだけで十分、満足のいく答えだった。
それを見ていた雪鳴も小さな笑みを浮かべ、片付けを済ませたところでこちらに向かってきた。
「柚那、夕飯お願い」
「うん。 すぐに作る」
「え、柚那が作るのか?」
「お姉ちゃん、料理が苦手だから」
「なんで出来ないのか不明」
「レシピ通りにやってるはずなのに、なんでだろうね……」
「それも才能?」
「雪鳴、それは才能じゃないと思う」
買い出しが雪鳴だったから、てっきり雪鳴が作るものだと思っていたら柚那が台所に向かい、食器棚の隣にかけてあった白と茶色のストライプ柄のエプロンを身につけた。
そして慣れた手つきで道具と材料を出し、調理を始める。
「っていうか、俺も食っていいのか?」
「食べないの?」
「いや、てっきり話しをするだけだとばかり……」
困惑する俺を他所に調理する柚那の視線と意識に、俺の存在はいなくなった。
どうやら料理に集中したいらしい。
「買い物に行く前、柚那が言ってた。 黒鐘も来るから少し多めに買い物してって」
「そうなのか?」
「嘘つかない」
「だよな……」
どうやら俺の知らないところで俺は、柚那に気を遣われていたらしい。
雪鳴や高町と違って思ったことを素直に言葉にできないけど、本当は優しくて気遣いが上手な女の子。
それが五年が経過して知った、柚那の姿だった。
「お茶を出すから、黒鐘はソファで待ってて」
「……それじゃ、お世話になります」
「お世話になって」
無言ながらも笑みで頷いた俺は、三人ほど座れそうな黒いソファに腰をかけて部屋を見渡す。
ソファとテーブル、それと雑誌などを置くブックラックがある以外にはこれといって目につくものはない。
雪鳴達の実家は和室ばかりの家だっただけに、こんな洋室で暮らしている二人に違和感が抜けずにいた俺だが、料理をする柚那と、その隣でお茶の用意をする雪鳴を見てどこか安心した。
二人はお互いが邪魔にならないよう無意識に気を遣い合い、流れるような動きで互いのするべきことをこなしていく。
それは二人が現在までの時間の中で紡いできた絆の賜物なのだ
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