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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十六話 やり直し
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 色々あって夕方から夜になり、時刻は午後八時ほど。

 色々を一つ一つ紐解いていくと、ジュエルシードによって生み出された木々の除去。

 結界の解除後は街の人々も夢を見ていたような気分になり、大きな騒ぎになることはなかった。
 
 その後は疲労もあり、各々解散となり、それぞれの家に帰宅した――――はずだった。

「ちょっと、お話しがあるんだけど……ウチに来ない?」

 帰る俺を追いかけてきた柚那が一人、数分の沈黙を置いてそう言った。

 お互いに疲れてるだろうし、諸々の話しは明日でも良いと雪鳴が口にしたはずだけど、柚那は納得しなかったらしい。

 早いうちに色々話したいと思ったのだろう。

 そういう律儀さ、真面目さに少し驚きつつも俺は、素直に頷いた。

「ああ、いいよ」

 もとより俺は、柚那の誘いを断る理由がなかった。

 話したいことがあるのは俺だって同じことだし、何より柚那と雪鳴と一緒にいたいと思う気持ちの方が強かったから。

 俺の返事に嬉しそうな笑みを浮かべ、そしてまたすぐにムスっとした表情になった柚那は足早に逢沢宅に向かって歩き出す。

 そんな柚那に俺は苦笑しながらも足早に追いかけ、雪鳴が待つ逢沢宅を訪れることになった。

 
 柚那と雪鳴が住んでいる家にはすぐに到着した。

 閑静な住宅街にある、どこにでもあるような普通の木造の二階建て一軒家。

 柚那と雪鳴の二人が住むには少し広いのではないかと思うようなその家にたどり着いた俺達は、一切の会話もなく到着し、そしてお邪魔した。

「……広いな」

「普通だと思うけど?」

 入った瞬間に思った感想に、柚那はさも当たり前のような返事をする。

 だけど俺の住んでいるマンションの一室で考えれば、玄関と廊下の広さや長さは倍くらい違う。

 しかも新築なためかかなり綺麗に片付けられていた。

 きっと自宅に戻ったら自分の部屋が汚くてしょうがなく見えるのだろう、なんて思いながら俺は用意されたスリッパに履き替えて柚那の後を追う。

 玄関から真っ直ぐな廊下を歩き、正面の扉を開けると広々としたリビングに到着した。

 俺が暮らしているリビングよりも広いため、どこか落ち着かない心境のまま入ると、リビングに繋がっている台所から聴き慣れた声が届く。

「柚那、お帰り。 黒鐘もお帰り」

「お姉ちゃん、ただいま」

「雪鳴……って、俺もお帰りなのか?」

 そこにいたのは、買い物袋から食材を出して大きめの冷蔵庫にそれらを収納していた雪鳴だった。

 どうやら解散したあと、夕飯の買い出しに出かけていたのだろう。

「柚那にとって、黒鐘は兄だから……私にとっても家族の一人。 だからお帰りなさい」

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