15部分:第三幕その一
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」
アンジェロッティ「いや、脱獄した僕には多額の賞金がかけられていると思う」
カヴァラドゥッシ「銅貨千枚だ。見事なものだね」
アンジェロッティ「そんなにか。それじゃあ匿ったら」
カヴァラドゥッシ「それも聞いているよ。縛り首だ」
アンジェロッティ「おいおい、余計にまずいじゃないか。それに君はただでさえスカルピアに睨まれているし下手をすれば本当に」
カヴァラドゥッシ「(アンジェロッティのその言葉に笑って)それはお互い言いっこなしにしよう」
アンジェロッティ「いいのかい?本当に」
カヴァラドゥッシ「長い付き合いじゃないか。それを忘れることはないよ。それにカヴァラドゥッシ家の家訓にもね、ちゃんとあるんだよ」
アンジェロッティ「家訓にもかい」
カヴァラドゥッシ「水に溺れている者を見たならば命を賭して助けよってね。だからだよ」
アンジェロッティ「マリオ・・・・・・」
カヴァラドゥッシ「だからさ。君しなくていいよ」
アンジェロッティ「(感銘を込めた言葉で)僕はいい友人を持った」
カヴァラドゥッシ「それは僕もだよ。じゃあ」
ここで正面の扉が開く音がする。二人はその音を聞いて血相を変えて立ち上がる。
アンジェロッティ「追手か!?」
カヴァラドゥッシ「いや、待ってくれ」
窓から庭へ逃げようとするアンジェロッティを呼び止める。
カヴァラドゥッシ「違う。これは」
アンジェロッティ「じゃあ一体何者なんだ、来たのは」
カヴァラドゥッシ「少なくともスカルピアの手の者じゃない」
用心不覚部屋の扉の入り口まで来て耳をそばだてる。アンジェロッティはその間に部屋の真ん中にまで戻って彼の話を聞きはじめていた。
カヴァラドゥッシ「これは・・・・・・彼女だ」
アンジェロッティ「彼女というとトスカかい」
カヴァラドゥッシ「ほら、聞こえるだろう?」
トスカ 「(姿は見えず声だけ近付いてくる感じ)マリオ、マリオ」
カヴァラドゥッシ「フローリアだ。今夜この別邸に来るって言っていたんだ」
アンジェロッティ「何だ、よかった」
そうアンジェロッティに告げる。彼はそれを聞いてほっとアンドの息を漏らす。そこへトスカが部屋の扉を開け飛ばしてやって来る。恐ろしい剣幕である。しかしカヴァラドゥッシはそんな彼女を見てもにこやかな笑みを保ったままであった。
カヴァラドゥッシ「(トスカに顔を向けて)やあ、早かったね」
トスカ 「(キッとカヴァラドゥッシを見て)そうよ。わざわざ飛んで来たの。浮気者を捕まえにね」
カヴァラドゥッシ「浮気者って!?」
トスカ 「何で白々しい。私の目を盗んであの女と会っていたくせに」
カヴァラドゥッシ「あの女!?それは誰だい!?」
トスカ 「まだシラを切るつもりなのね。何で恥知らずな」
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