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機動戦士ガンダム0087/ティターンズロア
第一部 刻の鼓動
第四章 エマ・シーン
第四節 転向 第五話 (通算第80話)
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。巡航艦の相手は軍艦であり、それ以上でもそれ以下でもない。雑魚の相手はせぬものだ。ましてやアレキサンドリア級は航宙母艦の機能を兼ね備えた、いわば航宙巡航艦である。対宙砲火は機銃らの役割であり、弾幕で宙雷艇やMSを寄せ付けないことが任務である。撃墜や致命傷を目的としていないのだ。
 今は唯一《ガンダム》を奪われなかったエマが隊長代理を務めている。三人は選抜された《アレキサンドリア》のMS隊の小隊長であり、本来は同格だ。隊長機として配備された《ガンダム》は四機。最後の一機は中隊長――ソートン少佐が搭乗する予定になっていたが、着任が遅れていたため、現在《アレキサンドリア》には搭載されていない。〈グリプス〉で最終調整で装甲をガンダリウム合金――実際にはルナ・チタニウムとFRPの複合装甲材だが――に換装しているという話だった。パイロット養成用の試作機には高価で希少な装甲材は使えないということだったらしいのだが、技術士官のヒルダ・ビダン少尉の歯切れは悪かった。
「なんだ?エマか?被弾している……?」
 敵艦から《ガンダム》が出たことを知らせる情報ウィンドウが開いた。しかも、左腕がない。被弾と勘違いしても仕方なかった。だが――
「いや、エマ機は一号機のはずだ」
 ウィンドウにはカクリコン機だった《02》の表示がでている。つまり、エゥーゴに滷獲された機体だ。追撃隊の報告には着弾の報告はなかった。ジェリドの機体だった《03》はまだ敵艦の腹の中ということになる。
「やつら解体しやがったのか……!」
 だが、何故解体途中の機体が出撃しているのか。整合性のつかない事態に、どう対応しようかと思案する。だが、敵味方識別信号を出していないからには敵性機体と見なすのが当然だ。
 短い俊巡のあと、ジェリドは改めてタイミングを見計らう。敵がカプセルに接触をしようとしたところを狙い撃った。ビームライフルから放たれた光の束がカプセルに吸い込まれていく。
パーンッ――
 まるでステンドグラスかシャンデリアが床に落ちて粉砕したかのように、カプセルが粉々に飛び散った。
「なんだ?爆弾じゃないのか?」
 拍子抜けしたジェリドを前に、メズーンの《ガンダム》が体当たりを掛けた。
「うわっ!なにしやがる!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁー!かあさんが、かあさんを、かあさんー!」
 聞いたことのある声が絶叫を放っていた。
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