13部分:第二幕その六
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ですね。それはフランスの国旗にそっくりではないでしょうか。その件でも御聞きできるのです」
トスカ 「これがですか?」
スカルピア 「そうです。それとも貴女を異端者としてサン=タンジェロ城に送りましょうか」
トスカ 「(この言葉には大いに驚く)私をですか!?何故また」
スカルピア 「理由は簡単です。貴女は教会でジャコバン派の者と御会いしていたので」
トスカはその言葉を聞いてそれまで驚いていた顔をほっとしたものにさせる。スカルピアは相変わらず親しげな笑みを作ったままである。
トスカ 「あの方は私に身も心も捧げていますので御心配なく」
スカルピア 「そうですか。それではこれを安心して返すことができます」
ここであの扇を手渡す。
トスカ 「(その扇を見て目を丸くさせる)これは?」
スカルピア 「夕刻にサン=タンドレア=ヴァッレ教会で拾ったものですが。貴女のものですよね」
トスカ 「(また驚いた顔になり否定する)いえ、私のものではありません」
スカルピア 「(芝居をする)では誰のものでしょうか」
トスカ 「(扇を見て言う)この紋章はアッタヴァンティ家のものですね。となると」
スカルピア 「そういえばあの教会のマグダラのマリアはアッタヴァンティ侯爵夫人によく似ていますね。偶然かどうかはわかりませんが」
トスカの方を見て言う。トスカもそれに反応を見せる。
トスカ 「やっぱりあの教会で。私の目を盗んで」
そう言うと友人であり夫人の情友でもあるトリヴェルディ子爵と二人で飲んでいるアッタヴァンティ侯爵のところへ行く。そして恐ろしい剣幕で問い詰めだす。
トスカ 「侯爵、御聞きしたいことがあります」
侯爵 「私にですか!?」
トスカ 「そうです、この扇です」
ここで扇を突き出す。
トスカ 「これは誰のでしょうか」
侯爵 「!?これは」
だが侯爵にはそれを見てもわからない。首を傾げているところに子爵が答えてくる。
子爵 「これは奥方の扇ですよ」
侯爵 「そうなのですか」
子爵 「はい、間違いありません」
トスカはその言葉に身体をワナワナと奮わせる。スカルピアはその様子を離れて見守っている。表情はない。
トスカ 「やっぱり・・・・・・マリオ」
そう言うと踵を返し何処かに向かおうとする。そこに偶然を装ってスカルピアが声をかける。
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