ありがとう!(U建一の半生)
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は無かった。パソコンで見た、昌五のアルバイト先の、日本料理店にも行ったが、幸世の所在は分からなかった。最後の手段として、建一は警察に行ったが「幸世の自宅の住所は判るが、転移さきは判らない」と、言われた。警察に、捜索願いを出そうとしたら、他人で或る建一は、受理して貰えなかった。建一は毎日、支店に行ったが幸世の姿は、なかった。一週間程して、別の女子行員から声を掛けられ、幸世から辞表が送られて来て、銀行を退職した事を知った。建一は差出人の住所を聞いたが「書かれて無かった様です」と、別の女子行員は答えた。建一は、茫然とした。完全に、幸世の消息が途絶えた。建一は、悲嘆のどん底に居る幸世が、心配だったが、八方塞がりで、如何する事も出来なかった。
音或る日、建一とモンタは、谷川の川原に居た。♪モンタは町場に行く時以外は、常に放し飼いで有り、建一の背中に負ぶさるが癖だった。モンタは、建一の背中が、母猿の背中だと思っていた。モンタは、建一と総一郎の頭の毛繕いも、する様になった。今日は、幸世が居なくなった寂しさを癒そうと、沢蟹とタニシを獲りに来た。モンタが、沢蟹を見付け、飛び跳ねていた。丸で、猿蟹合戦だった。谷川は、紅葉の真っ盛りだった。近くで、鹿の親子が水を飲んでいた。村人達が餌場を造ってから、野生動物は、人の気配を感じても、警戒心が薄れていた。鮭の途上が、始まっていた。産卵の為、傷だらけで、必死で途上して来る鮭を見ると、建一は、自然界の摂理と、哀れさを感じていた。建一には、途上中の鮭の捕獲は、出来なかった。10
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