ありがとう!(U建一の半生)
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家の前に、一台のパトカーが停まった。パトカーから警察官が降りて来て、建一に「お父さんの総一郎さんが、事故に会い、病院に運び込まれた」と、告げた。建一は言葉を失った。パトカーに乗せられ、建一は病院に向かった。病室に入ると「父ちゃん」と、建一は叫んだ。総一郎は昏睡状態だった。枕元に、クリスマプレゼントの真新しい黒色のバットと、キャッチャーミットが、置かれていた。それは、野球少年の建一が、以前から欲しがっていた物だった。傍にいた医師が「大丈夫、命には別状ない。しかし右足は、脛骨を複雑骨折しているので、駄目です」と、言った。「先生、駄目って、如何いう事ですか?」と、建一は問い質した。「膝から下を、切り落とします」と、医師は答えた。建一は唖然とした。「切り落としたら、如何なるのですか?」と、聞いた。「義足に、なります」と、医師は答えた。建一は「父ちゃん、大工です」と、言った。「義足では、高い所に登るは無理です」と、医師は答えた。総一郎は、大工の仕事が出来なくなった。建一は、自分を病院まで、パトカーで連れ来た警察官に聞いた。「事故の相手は、何処に居るのですか?」警察官は「道路には、対向車の急ブレーキの跡は有るが、接触していないので、交通事故には成らない。お父さんの自爆事故だ」と、答えた。建一は「如何して?」と、聞くと「法律で決まっている。自爆では交通事故の扱いには、出来ない。では、我々はこれで帰ります。お大事に」と、言い、警察官は病室を出て行った。総一郎が目を開いた。「父ちゃん」建一が泣きながら、総一郎に抱き付いた。総一郎は、事故の内容を全て、建一に話した。「対向車は、赤いスポーツカーで、男女二人が乗っていた。ナンバーは11-29」と、言った。対向車が、センターラインをオーバーしなかったら、父ちゃんはブロッ塀に激突しなかった。建一は法律の矛盾を感じた。建一は医師から「義足になる事を告げられた」と、総一郎に言った。総一郎は、暫し目を閉じた。寡黙な総一郎が建一に「馬鹿、男はメソメソするじゃない」と、言った。その夜、建一は、総一郎のベッドの脇のソファーで寝た。翌日、塚本工務店の社長の塚本一郎が、花束と見舞金を持って訪れた。社長は「仕事外の事故なので、労災保険の対象にならない。相手の車と接触してないので、自動車保険も一切下りない。使えるのは、社会保険だけだ」と、言った。総一郎は「社長、色々調べて貰って、有難う御座います」と、礼を言った。総一郎は、無事故・無違反のゴールド免許だった。事故で、総一郎の軽トラックは大破した。任意保険も車両保険も、以前は加入していた。総一郎は大工の仕事上、自らの軽トラックに、材木などをブチ当てる回数が多く、その都度、車両保険を請求していた。今は、保険会社から保険の加入を断られ、任意保険も車両保険も無かった。貰い事故で、弱り目に祟り目だった。障害者手帳は
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