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ありがとう!(T幸世の半生)
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で威嚇した。若者達は、無骨で大柄な建一に威圧感を感じ、逃げ去った。一部始終を見ていた幸世と昌五は、建一に男気(おとこぎ)を感じた。幸世を気付いたモンタが、外れたロープ引き摺り幸世に飛び付いた。モンタは、幸世が作った手作りの帽子と服を、着用していた。幸世はモンタに頬擦りをした。モンタは、道の駅では人気者だった。「先日は、モンタの服と帽子を頂いて有難う御座いました」と、建一がお礼を言った。「此方こそ、沢山の山菜とキノコを頂いて有難う御座いました。両親も美味しかったと、言っていました。今日は、弟の昌五と、早川さんの売店を見たくて来ました」と、幸世が言うと「高木昌五です。姉が常々、お世話になっています」と、言って昌五は頭を下げた。「此方こそ、お世話になっています」と、建一は昌五に頭を下げた。「モンタちゃんに、服のサイズが合って嬉しいです」と、幸世は言った。「今日は、お休みですか?」と、建一が聞いたら「早川さんのお店が見たくて、午前中だけ、休みを取りました。午後は出勤します」と、笑顔で幸世は答えた。二人は建一の売店に入った。隣には、先程の老人の売店が在った。モンタが、道の駅の客と戯れていた。幸世は、建一の売店の山菜とキノコを買い求め、老人の売店からは野菜を買い求めた。大きなレジ袋には、幸世が求めた量より相当多い、山菜やキノコや野菜が入っていた。「こんなに沢山は、買って無いのですが?」と、幸世が言ったら、建一と隣の老人は「サービス・サービス」と、言った。大きなレジ袋は、幸世と昌五が両手に持ちきれない量で、建一とモンタが、駐車場の軽乗用車に運んでくれた。帰りしなに、建一が昌五に「料理が好きだって。料理人になったら?好きな事を、やった方がいいよ」と、言った。昌五は笑いながら、頭を掻いていた。幸世は、建一の作業着の腕が綻びているのに気付いた。「ちょっと待って」幸世が言い、バックから裁縫用具を取り出し、綻びを直した。建一は、緊張して直している間、微動も出来なかった。幸世の甘い香りが、建一に伝わった。銀行に向かう車中で昌五は、建一が、たくましく思えた。「良い人だね」と、昌五が言うと、「うん」と、幸世は微笑みながら、返した。昌五は「予備校に行って、仲間に分けて上げるから」と、言って、野菜などが大量に入ったレジ袋を二つ持ち、途中で車を降りた。仲間に分けるのには、量的に多すぎると、不振を持った幸世は、脇道に入り停車した。車を降りて、徒歩で、元の本通りに戻った。昌五の姿が在った。彼は大レジ袋を両手に持ち、この町でも有名な、日本料理の店に入って行った。昌五の行動に益々、不信が募った。幸世は、店の看板に書いてある電話番号に、携帯から電話した。女性が出た。幸世は「高木昌五さん、居りますか?」と、言った。女性の声で「板前修業の高木昌五ですか?今、出勤しましたので呼んできます。少々、お待ち下さい」
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