ありがとう!(T幸世の半生)
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げな心を、昌五は感じ取っていた。
三日後、レジ袋を持って建一が来店した。「これ」と、言って、建一はレジ袋を窓口のカウンターに置いた。奥の支店長の席で、幸世の様子を見ていた支店長の信雄が、幸世の傍に来た。入金伝票の名前を見て「早川さん、困ります。銀行は御客さんに対し、平等に対応しています。特定の御客さんから物品を貰う事は出来ません。それは、お持ち帰り下さい」と、上目線で冷たく言った。建一は、レジ袋を自分の膝の上に戻した。言い終えた信雄は、支店長の席に戻って行った。信雄にとって幸世は、自分の愛人である。他の男が、幸世と親しくなる事に、苛立ちを感じていた。幸世は小声で「ごめんなさい。折角、持って来て下さったのに。先日の山菜とキノコ、美味しかったです。特に弟は、料理が好きなので、誉めていました。有難う御座います。30分程、お時間が有りますか?」と、言った。建一が「はい」と、答えた。「支店の裏に、当店の第二駐車場が在ります。そこに、私の軽乗用車が止めて有ります。色は水色です。ナンバーは10-12で、私の誕生日です。トランクの鍵を、開けておきますので、そのレジ袋を、入れて置いて貰えますか」と、小声で幸世は言った。建一も小声で「分かりました」と、頷いた。「有難う御座います。トランクの中に、モンタちゃんのプレゼントが紙袋に入れて有ります。紙袋をお持ち帰り下さい」と、小声で幸世は言った。最近、幸世は運転免許証を取得した。幸世の勤める支店は、自宅から五キロ程で、近かった。五郎の勤める支店も、以前は自宅から余り距離が無かったので、二人は毎朝、一緒に自宅を出ていた。転勤後の五郎の勤める支店は、遠くなり、バスを乗り継いで行く距離になった。毎朝、五郎だけは朝早く、自宅を出る様になり、二人の出勤時間帯は別々になっていた。建一はモンタと一緒に、30分程時間を潰し第二駐車場に行った。水色の軽乗用車が止めて有り、ナンバーは10-12だった。トランクには、幸世が言った通り、鍵は掛かって居なかった。建一は、トランクを開けレジ袋を入れた。トランクの中に、紙袋が有った。紙袋を取り出し、建一はトランクを閉めた。建一は、自らの白色の軽トラックにモンタと一緒に乗り、紙袋を開けた。紙袋には、モンタの白と黒の帽子が、二つ入っていた。帽子をモンタに被らせて「モンタ、カッコイイな」と、建一は言った。そして軽トラックは、家路に向かった。
それから三日後、幸世は銀行を午前中休み、昌五を誘い道の駅に向かった。駐車場に水色の軽乗用車を止めた。車を降りたら、老人の荷卸しを手伝っている、建一の姿が見えた。老人は同じ山村の住人だった。老人と建一が、軽トラックから、野菜を降ろしている時、老人が、よろけて、通行中の若者にぶつかった。「この爺」と、言って、若者は老人を小突いた。傍に居た建一は、若者に立ちはだかり、空手の型
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