貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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また来るね」と、手を振って[さよなら]を言った。一行は帰路の途中、ドライブインに寄って昼食をした。再び、車に乗り、一行は家路を急いだ。昨日からの雪遊びで、かなり疲れていて、運転手の辰之助以外は、全員、車中で眠ってしまった。今日は、助手席に夕子、中央席にリベルとアキ、後部席に安造とハーモニーと平で、乗り込んでいた。夕子は、窓に寄り掛かって眠り、アキは、リベルの肩に凭れ(もたれ)眠っていた。後部席の安造と平は、各自、左右の窓に寄り掛かって眠っていたが、後部席中央のハーモニーは、安造の膝枕で眠ってしまった。暫くして、安造は、ハーモニーが自分の膝枕で眠って居るのに、気が付いた。安造は、ハーモニーが自分の子供の様で、実に可憐に思え、その侭の姿態で、自分のジャンバーを、彼女に被せた。夕方、土蔵の或る町に到着した。町の、行き付けの寿司屋で、一杯やりながら鮨を食べた。ハーモニーとリベルは、山葵抜きにしてもらった。そして、屋敷に戻り各自の部屋に入ったが、リベルとアキは笑いながら、台所で雑談をしていた。安造が、平とハーモニーを座敷に呼んで、明日の予定を聞いた。「明日は、時間の許す限り、当社の事務所や工場や店を回りたい」と、答えた。安造が「結婚して何年だ?早く、孫の顔が見たい。子作りに励んでいるか?」と、聞いた。「日に一二回、していますよ」と、ハーモニーが答えた。安造が驚いて「日に一二回は、多すぎる」と、言い「夫婦は、余り仲が良過ぎると、子供が授からない。週一回位にしたら?」と、忠告した。平とハーモニーは、俯いて、忠告を聞いていた。二人はその夜、安造の忠告を受け入れないで、ハーモニーと愛の交歓をした。ハーモニー「気持ち、良かった?」聞くと、平が「良かった」と、答えた。ハーモニーは嬉しそうに、微笑んでいた。
あくる日、平は、ハーモニーとリベルとアキを連れて、安造の車を借り、この町に在る、武井興業鰍フ製糸・織物・縫製の一貫工場に向かった。アキも、リベルと一緒に居たくて、同行した。安造は、中学しか卒業しておらず、増して、元、ヤクザで在るが為、経営のノウハウは全く無く、会社の経営は、平が教育した、幹部スタッフが仕切っていた。安造は、自宅で過していて、殆ど会社には出社せず、名目社長であった。この日も、安造は、平達との同行を、望まなかった。安造の車は、奇しくも、義衛門の車で父・武井六郎が運転手を務めたドイツ車、ベッツであった。安造には、ベッツに、幼き頃の愛着が有った。工場に到着して、その壮大さに、ハーモニーとリベルはビックリした。工場長が出迎えた。工場長は、元、武井興業の若い衆で、平自身が創業時に任命した。工場長の横に、初老の男性が「専務、お久しぶりです」と、挨拶した。見覚えの或る、顔だった。話して見ると、昔、何度か、平の処に遺骨を運んでくれた、役人だった。この町で、優良企業の当社に勤めた
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