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貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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しみ、その日は、全てが休みの、喪に服する状態だった。飛行機には、ハーモニー・リベル・アキの他にガルシア専務・ロベルト・ダニエル校長・バングラディシュ人の工場長・慰霊碑が在る町長など、大勢の人が棺と共に搭乗した。悲痛なハーモニーの姿は、見るのも辛かった。
飛行機は羽田に到着し、報道関係が待ち構えていた。平の棺は、武井興業鰍フ原点の土蔵に搬送され三日間、安置された。土蔵は、平が静・和・敏郎・黄子と苦楽を共にした、遠い昔の思い出の場所であった。それは、リベルとガルシア専務の、手記に基づく平への心配りだった。ロベルトとダニエル校長は、グローバル企業の武井興業鰍フ中核が、余りにも小さい建物なので、驚いていた。隣の寄宿舎の海外留学生が全員、大学を休んで棺を出迎え、合掌していた。ガルシア専務は、寄宿舎に案内し、平社長が海外の留学生に寄宿舎を無償で開放した、原点が此処に或ると、ロベルトとダニエル校長に話していた。肩を落とした安造が、土蔵に訪れ、棺に縋り付き「平は、大嘘つきだ!日本に帰って、俺と一緒に住むと約束した!」と、大声で泣いき、昔のヤクザの面影は、全く無かった。三日間、ハーモニーとリベルとアキは、土蔵の棺の横で床を取った。深夜、床に入ったハーモニーは、天井の(はり)を見詰め、土蔵で、一緒に平と過ごした(なごみ)を、想い巡らしていた。
平の葬儀は、この町の武井興業鰍フ縫製工場の体育館で、無宗派で執り行われた。武井興業鰍ノ取っては、この町は会社の聖地であった。各界から大勢の著名人が参列し、政府の担当大臣や、フィリピン政府の関係大臣も同席した。アメリカから、サトの家族も全員、駆け付けていた。途切れない弔問客の長蛇の列が出来、列は一般道にも及んだ。この町が始まって以来の、大きな葬儀になった。遺族親族に座ったハーモニーは、心とは反対に気丈に振る舞っていたが、安造はガックリ肩を落としていた。参列者の弔辞が続いた。蛍の家の子供達も、哀悼の意を述べた。弔電は、余りにも数が多いので、御尊名だけ拝読し、主文は割愛させて貰った。全員が、沈痛な思いで、祭壇に向かって献花した。花祭壇には、平の遺影写真と、義衛門の根本理念の[上を見てください。貴方より頑張っている人は、一杯います。下を見てください。貴方より貧乏な人は、一杯います。両方見る事が出来れば、貴方は人間です]と書かれた額と、義衛門・静・平の三代に渡って受け継がれた手記が飾られ、手記は後日、武井興業鰍フ教典になった。ハーモニーとリベルが、始めて日本に来た際に、ガイド旗を考案した幹部社員の企画で、葬儀の引き出物には、コソ泥スタイルの、弁当届犬のキャラクターが限定復活した。それは、武井興業鰍フ商品開発の原点であった。幹部社員は、弁当届犬の黒君・白ちゃんを載せた限定Tシャツを、急遽、縫製工場の従業員に徹夜で作らせた。従業員も快く協力し、
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