貴方の背中に、I LOVE YOU(後編)
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のスタッフは、刑事達と格闘になった。全員の抵抗も空しく、平は刑事達に手錠を掛けられ連行された。ハーモニーは、大声で地面に泣き崩れた。ダニエルは、額に深い傷を負った。子供達も、地面を叩いて泣いていた。傷を負った犬や、猫が、地面に横たわって居た。悲惨な光景であった。GIEMON(義衛門)の実質的なCEO、田村平の拘束のニュースは、瞬く間に日本中に知れ渡った。平、拘束を知った安造の落胆の程は、殊の外、格別だった。日本で平は、慈善家としても知名度が高かった。政府も世論に後押され、当事国に釈放要請を出した。現地でも、フィリピン武井鰍フ社員や、正義の慰霊碑が在る町長が中心となり、署名活動で釈放を嘆願した。だが、富裕層・地主階級・特権階級に嫌われている平の釈放要求は、現地政府には通じなかった。ハーモニーは、一人、コンドミニアムに引き籠る様になった。生気も失い、彼女の嘆きは計り知れないものだった。ハーモニーは、二か月過ぎても、オフィスにも、peaceful school YASUZOUにも、現れ無かった。見かねたリベルとガルシア専務は、コンドミニアムを訪れた。呼び鈴を押しても応答が無く、ドアは鍵が閉まっていた。リベルは、合鍵でコンドミニアムに入った。部屋は散乱し、ハーモニーが部屋の片隅に蹲り(うづくまり)座って居た。彼女の視線は、床をじっと見詰めていた。頬はこけ痩せ細り、どうも食事は、摂っていない様子だった。リベルが台所に入り、食事を作ってハーモニーに与えた。リベルとガルシア専務はハーモニーを宥め(なだめ)、フィリピン武井鰍ニ、正義の慰霊碑が在る町長達とが一丸となり、平の釈放要求の運動を展開していくので、ハーモニーも頑張る様に諭した。釈放要求運動は、既に始まっていて、peaceful school YASUZOUや小作農や一般市民までもが、挙って(こぞって)参加していた。平のパイプ敷設の灌漑事業は、この国の一般市民からも賛同を得ていたのだ。ハーモニーは、平の釈放に、自分が一番、頑張らなければいけない立場にある事を悟った。数時間後、アキが食べ物を持って、コンドミニアムに駆け付けた。リベルとアキは、一人で落ち込んでいるハーモニーが心配で、コンドミニアムに戻り住む事にした。平の刑期は、五年に決まった。ハーモニーは先頭に立ち、皆と一緒に、朝から晩まで無休で、平の釈放運動の運動や署名活動に奔走した。次第に、ハーモニーの痩せ細った体も、元に戻っていった。丁度、その頃、リベルとアキの間に男子が誕生した。リベルはOur Benefactor Mr. Masayoshi Tamura (自分達の恩人・田村正義殿)に因んでMasayoshi(正義)と命名した。甥の誕生は、ハーモニーの体力の回復の要因にもなった。でも、釈放要求の活動は、一向に功を奏さなかった。
平が投獄されてから、三年が
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